ベンチマークがないんですよ

今日はアメリカすごいぞ、大丈夫、明日は1929年と、今やどこにもベンチマークがないんです、と、ジェフ・ルービンが言っていた。

ジェフはベンチマークがないと言うが、私はジェフ様をベンチマークにして世の中見てます。ファンレター出そうかな。

ジェフ・ルービンは3ヶ月ぐらい前からちょびちょび書いているけど、カナダのCIBCという銀行の投資銀行部門であるところのCIBCワールドのチーフエコノミスト

6月ジェフ:距離はお金だす
http://d.hatena.ne.jp/Soreda/20080611
7月ジェフ:原油200ドル、ガソリン7ドル時代だす
http://d.hatena.ne.jp/Soreda/20080708
毎月ジェフ・ルービン
http://d.hatena.ne.jp/Soreda/20080731#1217486050


いや、そんなことはともかく、今月の話題は、アメリカの例のベイルアウトプランが潰れましたから入ったのだが、そこで、銀行というのは人々がお金を預け、借りるところだしょ、だからこれはウォールストリートの問題ではなくてね、とやっぱりそんなところから説明しなければならないという点が、ああ、今の北米だと再認識した。


つまり、優秀なキャスターたちであっても、ベイルアウトプランが必要だという前提では話していない。なくても大丈夫なんじゃないかとどこかで思ってるのがとてもよくわかる。

米国債買う人は儲けようと思って、イールド見て買ってるんじゃないですよ、資産を失いたくないから買ってるんですよとも言い、それに対してアメリ自由主義万歳派の投資家代表みたいないつも元気なおじさん司会者が、そうまったく機能してないんだよね、という時のその機能していないとは、自分が儲けられる市場がないことへの腹だたしさでしかないという、この差異が不気味だった。儲けられるかどうかのフェーズじゃないんだ、と言っている意味が腹に収まっていない、と。で、ジェフ様はそれをわかった上で聞いている、ああ、これがメインストリート(実経済側、一般人側)なのだという思いなんだろうなぁとか想像した。


このところテレビに出てくる金融関係者は、アメリカでもカナダでも、総じて、目が笑ってない。まったく笑ってない。これはつまり、金融市場、インターバンク市場という普通の人の目には触れないところが機能不全に陥っていることを文字通り見てる人が、その恐怖を隠せないということなんでしょうか。他方、どれだけ経済を語れる人でも、その恐怖はまだ余所事だと。


さらに、カナダの状態はどうですか、とキャスターが振った時、ジェフ様は、私たちがいるのはグローバルなクライシスです、ってな入りをしていたのも印象的だった。


ついでに、金融関係者とは言わないだろうが、ジェフ様の次にカナダのフレアティ財務相が出ていたのだが、フレアティがこんなに真剣な顔をするんだというほど、いままでとまったく違う顔つきになっていた。
(内容的にはサプライズはなかったと思うがよく見てなかったから、多分)


さっき見た日経さんの記事に、

 米下院が否決した金融安定化法案については「金融市場の混乱が日々の生活に及ぼす影響について国民に理解を求める努力を続ける」と説明。議会と緊密に連携して、早期成立を目指す方針を強調した。

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081001AT2M0100E01102008.html

とあった。これはマコーミック米財務次官(国際金融担当)の言らしいのだが、それって、間に合うんだろうか。


とりあえず、法案を修正して、預金保護枠を拡大して(一般人への配慮および秩序維持か)、上院が金融法案修正案を採決しようとしている、というのが9月最終日(米東海岸時間)のアップデート。

米上院指導部、預金保護拡大で合意 金融法案修正案採決へ
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081001AT2M0100L01102008.html


上のジェフ様は、多分、これでもうまくいかないんではないのか、ウォールストリートとメインストリートの差は大きく、金融市場の混乱が身近に迫ってこないと多分人々はこの話に追いついてこないよ、と考えているっぽかった。


日本人の知り合いは、誰にあっても誰に聞いても法案否決でびっくり、そして、もう3年ぐらい前からこうなることはわかっていたじゃないか、今ごろ驚いているほうがおかしい、なんだかなぁ、といったところ。

で、話ながら、要するに私たちだって体験したから、多分これはこうなって、こんな話で、だとすると次にこういうのが来て、ここが駄目になって云々というのを、かなり多くの人が今では知っている。が、あの頃やっぱり、公的資金投入と聞いただけで怒り狂っていた人はいっぱいいたわけで、人様(アメリカ人)のことばっかりはとりあえず言えないよな、とは思った。


が、しかし、サンプルがあるわけだ。
そしてそれを語れる知性ある人もやまほどいるわけだ。
その一人は言うまでもなく、聖職者の面持ち堅持のバーナンキさんではあるわけだ。
それでも駄目だと。

歴史を繰り返してはいけないとか言う人がよくいるが、多分、それはできないからそんなことを言うのかな、など思うしかないんだろうなぁ。