グレートゲーム観戦雑記その2

もりあがってまいりました、「冷戦」。
よかったねぇ、アメリカ人、これで本物の敵が来たねぇと声をかけたくなるほど、ソビエトの文字が目立つ今日この頃。あはは、という感じがしてしまうなぁ、どうしても。


予想したとおり、というのもなんだが、とりあえずEU主導で交渉に付かせても、そんなことはさせじ、の、アメリカ様のお出まし、だろうと思う。
これで偶発的にグルジアが無謀にもロシアにかかっていった、という線が消えていくよなぁと遠い目。アメリカには頑張ってほしい、いいところの一杯ある人たちなんだよ、と個々のアメリカ人にはそう言いたいが、全体としては、なんか、苦境みたいですね、としか思えない。

President Bush Announces a Massive Humanitarian Effort in Georgia


多分、米軍主導の平和維持軍とかなんとかを置くとが目標か。人道的に緊急性が高いので私たちは出張ります、というスタンスはコソボと同じ。コソボと同じだからこそ米国の主張は弱いのではないのかという指摘も出ているが(南オセチアグルジアの一部なら、コソボセルビアの一部だろうが、なぜ結果が違うんですか、という話)、そんなことは気にしない。今は人道上の危機だから。

できれば国連の名前で持っていきたかっただろうが、ロシアは拒否権があるし、ここでステークをあげて、もしかしてチャイナも拒否ということになると、アメリカつらいので、ここれは回避か? わかんない。


で、先日、チェコとは調印の済んだ、迎撃ミサイル施設の設置をポーランドに、という話が緊急になってきたぁ!と、アメリカチームますますやる気。

Missile talks with Poles gain urgency
http://www.ft.com/cms/s/0/d729f880-6965-11dd-91bd-0000779fd18c.html


これも素敵。
「永遠にさらばだ、ソビエト連邦よ」、グルジアがCIS脱退へ
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2505376/3212769

まぁこの、この作戦自体の副次的ベネフィットはアメリカ人の冷戦願望を満たすため、ということだったらこれは成功イベントだね。

でも、CIS抜けてヨーロッパ勢にも敬遠されたらどうするのかを考えたことはあるのかな。あれか、最後はアメリカの飛び地になる。これでどうだ。



しかし、このアメリカ製復活冷戦シナリオはどこまで持つのか。どこまで行けるのか。


今般の件が、アメリカにとって上手く、少なくともコソボ並みにはいかないかもよ、と見えると私は考えているわけだが、その理由、まず、欧州にとっての掛け金が高すぎる。1つはエネルギーそのものという点で、もう1つは、NATOという同盟を通して、火種を抱え込めとアメリカに押されているという点で。

従って、今後の展開としては、欧州(古)と欧州(新)にますます分裂していく傾向はどこまで続けられるのか、で、それがNATOに波及するか、というところが見所か。まぁずっとそうなんだろうが。

多くの欧州人及びカナダ人たちが多少なりとも疑問に思ってきた、なんでアメリカ、そんなにヨーロッパに手を突っ込むの? もっと他のやり方で共存できてたし、他のやり方も考えたいんですけど、私ら(ロシアは昔からガス屋だ)という疑問が顕在化してきた時、何かきっかけがあるんでしょうね。アメリカに割らせるのを待つってのもありか。

何を言ってる、俺らはお前らを守ってる、テロが怖くはないのか、という作戦がちょっと停滞してしまったので、ここで真打ち、ソビエト登場といった怒られるかしら。コミュニストは怖い論が今後活発になるでしょうが(少なからぬアメリカ人にってこれとナチは悪は殆ど愛玩物に見える)、それが欧州に波及できるとはあまり思えないのが難点か。


しかし、グルジアのあの大統領を潔白にして、ロシアの侵略戦争で事を進める、というのがなぁ、もうかなり無理があると思うのね。
1992年の合意を破ったのはグルジアだろうが、という点がしっかり欧州メディアに事実認定されているという点で、今度はコソボのように「上手く」はいかないのでは? ま、基本はアメリカ国内のアメリカ人が納得してくれればそれでいい、次はマケインだ、という線でのキャンぺーンとしては成功するだろうけど。


もちろん、欧州はアメリカと離れたいわけではない、という考えは優勢だと思うし、水面下のというか、水面下こそ本線だというべきか、米英さん資源チームvsロシア他ユーラシア混合チームの戦いの行方によっては、他国は右往左往しないとならないので、どこかに突破口が見えるまで死んだふり、というのが総じて言えば旧欧州の作戦ですよね。

死んだふりしながら、ロシア、イランといった資源国との関係を壊さないようにしておくという点では、日本も旧欧州と同じ。あ、福田総理というのはこの線で登場してるんじゃないのか、などとも思うわけで、しかし、まさかそうですというわけにも行かず、やっぱりみんな死んだふり、と。


ロシア、資源高で恩恵 米「一極」時代に陰り
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20080812D1C1200J12.html


この記事、勇気出して書いたなぁ・・・。アメリカじゃ書けないわ、これ。

グルジア紛争では、地上部隊の侵攻や親欧米のサーカシビリ大統領の退陣要求など、国際秩序を乱すことも辞さないロシアに翻弄(ほんろう)される欧米諸国の姿が浮き彫りになった。背景には米国の地盤沈下とロシアの台頭という歴史的なパワーシフトがある。

パワーシフトとまで言うってしまう・・・と。
しかし、今回は、経済新聞だけあって日経さんが一番骨子を捉えているように拝察。