竹島08夏(3)

独島:韓日もし戦わば(上) | Chosun Online | 朝鮮日報

独島:韓日もし戦わば、というタイトルを挙げて結論としては、日本が断然優位じゃないか、俺たちはどうしたらいいんだ、で、

 宋永武(ソン・ヨンム)元海軍参謀総長は「韓国の海軍力が日本の70から80%のレベルになれば、日本が独島問題で挑発できなくなる。

ってな意見を紹介している。


私はこのタイトルを見て、

黒船の世紀―ガイアツと日米未来戦記 (文春文庫)

黒船の世紀―ガイアツと日米未来戦記 (文春文庫)


を思い出した。この中に、1940年頃?、日米もし戦えば(書名失念)、とかなんとかいうベストセラー本があって、これを書いたのは、池田なんとかさんという衆議院議員の人で、この人の人となりというのもこういう本を出して快哉をあげてしまう成り行きをよく示していたので、それと日本の状況がピタッと会ってベストセラーになっていたような感じだったと記憶する(かなりうろ覚えだが)。で、この勇ましいタイトルの本の内容は、とてもとても冷静なものではなくて、徹頭徹尾、願望で出来ているようなものだった、と。だから読んだ人たちは、溜飲が下がる思い、で受け止めてしまうからさらに売れる、だったんだろうね。


で、それと前後して同種の勇ましい本が出て来ていたらしい。そういう雰囲気の中の雑誌の対談で、冷静な軍人あがりの人とかは、とても日本に勝ち目はないといったことを縷々述べる。すると、戦争、外交を語る資質に疑いのもたれそうな、なんでその対談にいるのかわからない芸人さんとか別系統の作家の人が、現実じゃなくて、小説の中の話のようなことを言い出す。「そんなこと言ったら勝てないじゃないですか」みたいな台詞があったと思うんだが、要するに、願望が支配的すぎて現状分析ができない状態。

で、猪瀬氏の思考の流れとしては、そういう願望、日本が負ける訳がない、という願望の果てに、新兵器を持って勇躍する日本人が登場する未来戦記ものの大流行に繫がってくる、ということだったと思う。

何十年もたった現在の視点から見ると、痛々しい話なわけで、それを茶化したい意図は私にはもちろんない。
しかし、ここから考えられることは考えるべきだろうなと思う。


で、幸か不幸か、しかしながら、この話は、今のところでは、日本でというよりも、韓国の方がぴったり来るよな、とか思う。
(ただ、現実が暗いところから、未来的な兵器を空想の中で開発していく、という展開はあくまでオタク国家の真骨頂の副産物みたいな気もするので、これはあまり他の国には当てはまらないかもしれない。韓国では、韓半島?だとか言う映画で自分たちが大勝するみたいは話になってたとも聞くけど、未来兵器には及んでないの?よくわからないけど。)


日米もし戦えば、とか発想してしまって大声で言いたくなったというのは、要するに閉塞感だったんだと思うわけね。米との軍事的な問題が根幹にあるのじゃなくて、むしろそれは現れで、根本は、当時、外交的にどこに出口があるのかもうわからん状態だったということではなかろうかと。

で、一方で南の朝鮮はどうか。現れとしては、日韓戦えば、になってるけど、これも根は違ってると言えるんじゃないですかね。外交的に手詰まってる、と。そこで、決戦すれば活路が生まれるんじゃないか、という発想が魅惑的に見えるから、戦えば、になるんだろう、と。

「韓国の海軍力が日本の70から80%のレベルになれば、」、に至っては、日米の戦艦比がもう少し詰まれば、みたいで気が重い。そんな問題じゃないんだってば、なわけだ。