ブルカとスカーフは違う


オランダ、イスラム女性の「ブルカ」禁止へ
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061119AT2M1801318112006.html


他に選択肢があるとは思えないので、こうなりそうなことがなったという話かと思う。私は賛成。


で、まさか理解していないで書いてはいないと思うが、日経さん。書き方が多少へん、誤解を招きかねない。

 オランダ政府は17日、イスラム教徒の女性が顔や体などを覆う「ブルカ」などを公共の場で着用することを禁止する方針を決めた。欧州ではフランスが公立学校でのスカーフ着用の禁止を定めているが、国レベルでブルカなどの着用を全面禁止するのは初めて。


スカーフとブルカはまったく話が別です。スカーフは頭にかぶるもの、ブルカは顔がすっぽり隠れてしまうもの。


こういうやつ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AB


顔をフルフェースのマスクで隠した見知らぬ他人に仲良くしましょうと言われても困るのと同じように、いくらそれが伝統衣装でも都市で不特定多数の人が行き会って暮らすにはこれはおよそ不向きな装備だ。だからこそ、公共の場での着用はせめてやめましょうよ、という話。


前にも書いたけど、道端ですれ違っても違和感があったけど、美術館を歩いていて、ふと目の前に顔から足元まですっぽりの服装の人2人に出くわした時、私は、これはいかんと真面目に思った。実際心情的には怖かった。なんせその人がどういう表情をしているのかがまったく見えない。ぶつかりそうになっても、ごめんなさいね、という感情で向かえないし、冷静に考えればそれは多分女性だったんだろうが、男性がかぶっててもわからないと言えばわからないわけで、疑念を抱くのが失礼だという見解も理解するが、その疑念は別の場合には自分を守るために役立つ疑念だからまったく棄てるというのもどうかと思う。一方的にこちらは無防備にされるのはかなわない。


そういうわけで、ま、たいていの、現実にこれらのフルフェース型のものを着用する人と一緒に暮らす必要がある人は、こうした法案に対して賛成なのじゃないかと思う。


しかし着用したいという人を無理に脱がせるのもなんなわけではある。しかし、あんまり都市向き装備でないことも事実。というところからの苦肉の策なのか、本当に問題になっているのかどうかは知らないが、カナダで見たニュースでは、アフガニスタンでは、これらすっぽり型の衣装のために、日照が欠乏、ビタミンDを摂取できず骨がもろくなったりといった健康被害に注目されています、というアプローチがなされていた。

すっぽり型は二重になっているものなどがあり、太陽光をかなり遮断してしまうんだそうだ。で、それらのビタミンは食物によっても摂取できるが、そういう気配りまたはお金がない場合はどうするんだ、と。やっぱり太陽に当たらないのは問題だ、という話だった。


確かに説としては理解できるし納得もするが、だけどこれを統計的にプルーフするにはさらに長い年月がかかりそうだなぁなどとも思ったし、そもそもそれ以外の栄養は足りているのか、さらにその前に、人はみな健康であることが第一の目的だ、というのはある種カナダ人の屈強で頑丈な思い込みじゃないかという気は多少する。自分らしく適宜不健康だろうがそれでいい、という選択肢を公言することはこの国ではかなり難しい。(そういう人は、あきらめてる、最悪の場合はなんらかの意味で落伍者みたいに思われかねない。)


やっぱり、一緒に生活するために駄目なものはあります、と正面から相手を説得する方向性の方が長い目で見れば説得的だし、むしろほどほどに他人の価値観を尊重しあうことにも繋がると思う

(反対例:国家をあげての健康アプローチ、難しいところだが巷間言われるいわゆる禁煙ファシズムもそうだろう)