フルレンジと古い話

ライスさんがアジアツアーに出かける、さて何て言うんだろう、と関心が高まっていた北米だが、とりあえず第一弾の日本のスピーチはかなりインパクトがあったというべきかと思う。ただ、規定方針通り推移しているという意味ではあるわけで、別にサプライズはないのだが。

“I want to make sure that everybody understands that the US will fully act on our defence obligations under the mutual defence treaty,” said Ms Rice. “The United States has the will and the capability to meet the full range, and I underscore the full range, of its deterrence and security commitment to Japan.”

Rice promises to defend Japan from North Korea
http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2006/10/18/urice.xml


合衆国は相互防衛条約に従って防衛に関する私たちの義務を完全に遂行するんだとうのを皆さんに理解してほしいです、と来て、駄目を押すように、「合衆国は、日本に対して約したあらゆる種類の、ここ強調しておきます、フルレンジ(あらゆる種類)の抑止と安全保障をも満たす、意思と能力があります。」と言う発言は、局地的、つまりこの個別の事件に対しては、日本にとっては頼もしい、が、しかし、長期的に見れば、日本の核武装論議への牽制ということになる。


また別の見方をすれば、この問題を片付けたいという現政権の意思に対して、日本の核武装がどうした、という話の筋は、混乱させたい人にとっては格好だとも言えるだろう。日本も持つのね、じゃあ南も、じゃ北だってといった感情が人々の頭の中をよぎるだろうから。そういうわけで、ここで締めるのは、現政権のこの場での代表者としては大変意味がある。


でもって、直前なのかな(?)、麻生大臣が、「日本の核保有議論も大事」といっていたのは国内向けでもあり、この線を読んでいるからでもあるんだろう。


BBCがライスさんの会見をフルバージョンで、アップしていたのは当面のハードライン遂行にとっても、そうして長期的な考察にとってもこれは重要だとの認識からだろう。これはお勧めだわ。
US backs allies against NK threat
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/6059240.stm


で、閑話休題的なお楽しみとしては、この発言が生まれる会談のいっぽうの当事者が麻生さんだ、というのは、やっぱりこう、うふふと思ってしまうものがある。だってほら、犬と餌は向こう持ちなんだ、と言ったとか言わなかったとかいう吉田茂をどうしたって思い出してしまうから。この枠組みの総元締めの子孫氏がそこで何を考えたのだろうか・・・・。


しかし、今この時、こういう大事な時にそんなことをうふふと持ち出すほど下品ではないのだろうとは思う。が、しかし、なにか太郎さんのニコニコ顔を見ていると、そういうのも別に隠すことはないのさ、と、次のディーるを考えているに違いないとかも思えてくる。なにせ、今この緊張時は現在のところ上手く行っているとはいえ、日本にとって後が大変なのは、またきっと別の見方をする、別の考えを持った集団、概算で民主党が来るんだろうなぁ・・・というそれだよ、それ、だから。



どうでもいいのだが、この切り口では焦点がぼけてしまうと思うんだが・・・・。

北朝鮮制裁「効果的に実施」 日米外相会談で一致

http://www.asahi.com/politics/update/1018/014.html


今さら一致しないわけはないので、サプライズはない、以上、で終わりだろう。
日本の武装を他の誰よりも嫌い抜いている朝日としては、ライスさんのコメントは喜んで紹介してもいいぐらいじゃないかと思うんだが(とても自虐的にでも)、なぜかつれないのはなぜ? 難しい人たちだ。



cf
日米外相 制裁決議実施に向け、協力で一致
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn/20061018/20061018-00000074-nnn-pol.html


Rice vows 'full range' of U.S. defence for Japan
http://www.theglobeandmail.com/servlet/story/RTGAM.20061018.wrice1018/
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