What are you implying?

* 昨夜、ある人と電話で話していて、自民党は都市型政党に、民主は逆にかつての自民のように地方政党へと変化しているのではないか? という面白い話を聞いた。自民党は数年前から、都市型政党へと脱皮出来なければ、政権政党の座を失うという危機感を持っていた。今回の刺客も、地元とは何の縁もない落下傘候補が多いことからも、その決意が窺われる。自民党は、もう国に金は無いから、これまでのようなバラマキは出来ない。日本はこれから夜警国家へと向かうから、地方のことは自分たちでやってくれと言っているわけだ。それを民主党は、相変わらず大きな政府を指向している。

http://eiji.txt-nifty.com/diary/2005/08/post_353c.html


作家の大石氏の23日のエントリー。
私にもそう見える。落下傘候補って、確かに造反議員対策でもあるだろうけど、国のことを考える人を選ぶのに地方優先もくそもないだろうを徹底させるという意味もなくはない、ってか結果的にはそういうアイデアが広まることはあるんだろうなとは思う。で、これまで自民といえば地元のえらい人の巣窟と認識され、それが故に「保守」とみなされていたのだが、おそらくそれは古い機構となるだろう。ただ、一回ではなくあと1回か二回同じことをした上でそれが固まるということかなと思う。


昨年までは自民党というのは矛盾の総本家のようなものだったのだが(古い層の漫然とした支持を背景にしながら改革を断行とか騒ぐ党首をかついでいた。変わりたくない人の支持をあてに、改革をしようとしていた)、今では民主党こそが矛盾の総本家となった。しかし、民主党がそれに気づいているのか?? というのがさらに事態を複雑にしている。


本人たちの自己認識は、改革の本流とは俺のことというものらしい。そして改革と聞く限り、誰もまさか、大きな政府への改革だとは思わない。しかしやってることは、なんか、どうもなぁではあるんだな。お金の流れ、収入部分の取り込みと流通をどうしましょうかの話だってのに、純がそうなら俺はこれだとお金の使い道の話なんかしてくれちゃうジャスコは一体なんだろう、だ。


民主・岡田代表、争点「年金改革」に絞る
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050822i211.htm

衆院選の争点について、「ワンイシューに絞るべきではないが、小泉首相が『(郵政民営化の)

一つに絞る、民主党も』と言うなら、年金、あるいは年金と子育てだ」と述べた。


なんか、はずしてないでしょうか?と思ったりするわけだが、だからといって純ちゃんのシングル・イッシュー作戦に巻き込まれる必要は別にないので、どんどんやってくれと思う。


で、私の考えでは、このたびの解散総選挙の最大の眼目、あるいはリワードは、民主党がどういう党かがわかるということではあるまいか。


上で書いたように矛盾の元祖・総本家自民党が先に、無自覚な国家社会主義者とでもいうべき人々を一応外してしまったので(いなくなったという意味ではないが、発言権はこの政権の意図からすれば封殺されたも同然だろう)、理念の上では自由>平等、の側を取ってしまった。大石氏とご友人諸氏はそれを「都市型」と呼んだが、私は、カナダの現在の保守党の前の名前、急進保守党(Progressive Convervatives)と言うかも。


となると民主党は、シンプルに「リベラル・デモクラッツ」というところか。でので、ということはそれこそがまさにLDPこと、自由民主党だったりする。わはは。


この倒錯は置いておいて(自民党が党名を変えりゃいいんだが)、しかしながら新しいリベラル・デモクラッツは、なんか開ければ開いただけ、あれ?って感じで、思っていたよりさらに、社会主義的政策を取るのかななんても見える。つまり、国家主導型の強力な政府を作りたいと小さい政府志向が言うよりさらに困難な事態を志向してないですかね、と見える。


民主党のマニュフェストを読んだ時私はとっさにこれってなんか共産党のテーマいっぱいですね、と思ったのだが、その理由は子供とか教育という、日本でいえば日共、こっちでいえばリベラル、アメリカでいえばデモクラッツがもれなく真っ先にかけつけて大騒ぎするテーマだからというだけではない。たとえばこれだ。

1. 基礎年金の財源には消費税を充て、新しい年金制度を創設します。


日本って、年金にしても、健康保険にしても、個人の掛け金が基本だ。つまりそれは、いろいろ複雑ではあるものの保険の制度内にあるものであって、社会保障とはいってもヨーロッパやカナダとは違う。掛け金としては無拠出でも、これまで働いてきたのだから、必要だからないから困っているから云々といった考えから支出されるものではない(ざっくり言いすぎだが)。あくまで、自分が払ったから利息をつけて支払われているという基本が維持されている。財源を税金にして、誰が何をはらったか、もらったかはわかりません、という制度ではない。様々な点で日本の社会は社会主義的だぁと人々は慨嘆してきたものの、実際にはそうでもない。


で、新しい年金制度を消費税を充てて、というのは、つまりこれを福祉政策の方にもっていこうということなのだろうか? これは小手先の問題ではない。かなり思想、ものの考え方の変換をも必要とする。ホントに争点にする?



そういうわけで、私としては、なんか民主党を見るための機会としての解散総選挙なんじゃないのかとか考えたくなる。陰謀論的だが。


ということは、郵政によってそれを分けようという意図は、おそらくとても上品なものなのではなかろうか・・・いやまぁ、郵政問題から直接的に今なぜ小泉なのかの理由を引き出す努力をされている人々は素晴らしいし、私も勉強させてもらっているが、いやしかし、いやその、じゃないのか、と思ったりする。
(上品なものなのだろうと考えたので下品なことは書かないことにしようかと思う)。




ちなみに、今週号のThe Economistは上で私がもう古いということになるだろうという枠組みを思い出させつつ書いていた。つまり、守旧派自民に対して抗する民主が政権交替をしようとしている日本というのがまずベース、と。


しかしながらこの半ページの短い記事はなかなか面白い書き方をしていて、いわく、自分たちはこれまでずっと日本の民主党を取り上げていた。でももう民主党はそんなお情けなんかいらないほど、純ちゃんの法案成立失敗によってできたこれはかつてないほどの政権奪取のチャンスだ。そこでマニュフェストが来ました。それは小泉よりもさらに徹底的な支出削減を約束してました。で、それでその経済どうなるんでしょうかね・・・、経済が危機にさらされていようが、コストカットという刀を持っちゃったサムライは、勝ったらやらないってわけにはいかなくなるかもね、で終わっていた。


Japan's opposition pledges sweeping spending cuts
http://www.economist.com/printedition/displayStory.cfm?Story_ID=4307618


ネット版のタイトルは、日本の野党徹底的な支出削減を公約、というところだが、紙版はブラウザーの上に表示されている通り、「Honey, I'll shrink the state」。



これをどう読むかというのは、人それぞれではあるんだろうと思う。労組に支持母体持ってコストカッターになるの?という意味かもしれない。
私は、いずれにしても少なくとも実効的なリフォーマーとしてはもうダメポと読んだ。