ひとびとの話

六か国協議といえば「核」、それ以外の話なんかするヤツは邪魔ものだ、というお達しby金、で話が進んでいるようだが、カナダの今日のニュースによれは、北朝鮮は再度、再々度の食糧危機です、足りてません、ということらしい。


New food crisis imminent for North Korea
http://www.cbc.ca/story/world/national/2005/07/26/nkorea050726.html


まぁ、食糧援助こそ先進国の都合のいいように話を進める時のネタみたいにも言えることがあるわけだが(特にアフリカのケース)、しかし、この場合、つまり北朝鮮のケースでは、食糧危機の意味は、内政がうまく機能なんかしてないんですよ、を指し示す光ではあるだろう。時期から考えれば、自分んちの収支を管理できないで核なんですか、という強力な皮肉とも、もちろん言える。


ここらへんは、living standardsの維持、向上こそ人々の願いと信じて疑わないカナダの人々にとっては当然すぎて鼻血も出ないって感じではなかろうかと思う。living standardsっていうと、物質的な生活のことだけを想起する人も多いかもしれないが、そんなわけはない。出産、教育からはじまってどうやって老いて、死ぬか全般がlivingだ。


で、これは、核の勝負なんかよりもよっぽど時間が長くかかるし、そうならそれはお金もかかるということだし、それはつまりどうあれ達成するのが難しい、大変なんだよということだ。でもこれがある程度のラインに来ない限り、本当の安全保障は語れないってことじゃないのかな。そして、多分、これはbasic human rightsを「現れ」の方から語っていることになるんだろうかな、など思う。



それはともかくカナダの北朝鮮の把握って、多分ベーシックはこれなんだろうと思う。

The Stalinist country has relied on foreign aid since mid-1990s when its farm system collapsed following decades of mismanagement and the loss of Soviet subsidies.


スターリニストの生き残り、と。そういえば朝鮮戦争の話なんかでも、必ずソビエト情勢についての一文が入る。隣の国(アメリカ)の北朝鮮理解が、朝鮮戦争でメジャーな役割を担っているのにもかかわらず今現在の話、せいぜい10年ぐらい前からのかの国に終始しがちな傾向がある(単純にいえばメジャーなマスコミがそう書くからだが)のに比べると、かなりしつこく、別のことを見ているという気がする。そうなる最大の理由は上で書いた通り、living standard命、つまり、内政重視だからなんだろうかななど私は思う。話題といえば年中健康保険と教育予算、という国だし。


CBC(カナダ国営放送、BBCとかと同じスタンスと思っていい。つか出張所のような気もする)の北に関するまとめ、In Depthの項目の冒頭が、「Its people are among the most isolated, although those living in big cities are becoming used to seeing foreigners. 」と、中の人々が孤立しているという点に着目していることはとても象徴的だろう。
http://www.cbc.ca/news/background/northkorea/


ベンサムを知りながらhuman rightsの話を聞いていた、そして聞いている、というのは多分とてもラッキーなことなんだろう。