2005年というより1905年

国民と共に考えてみるべき盧大統領の同盟観

盧武鉉ノ・ムヒョン)大統領は22日、陸軍士官学校の卒業式で「これから私たちは韓半島だけでなく、北東アジアの平和と繁栄のため、“バランサー”の役割を果たしていく」とし、「今後、我々がどのような選択をするかによって、北東アジアの勢力図は変化するだろう」と述べた。

http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/03/22/20050322000073.html


これを受けてこの記事は、

「私たちの選択によって北東アジアの勢力図は変化するだろう」という大統領の言葉は、別の聞き方をすれば限りなく心満たされる話のように聞こえるかもしれない。


しかし今この場で冷静に考えると、それは韓国を取り巻く強大国に「韓国がこの先、どんな選択をするか分からないから、韓国を潜在的な敵と考えて対処しなければならない」と言っているようなものだ。

要するに大韓民国の安保的なアイデンティティーが深刻に混乱しており、韓国の安保的な揺らぎを周辺国が危なげに注視するような状況を自ら作っているのだ。


と言う。その通りだと思うけど、周囲がどう見てるかを気にするという点でまず、なんてかバランサーになれないって言っているようなものかとも思う。バランサーがバランサーであるためには、一見逆説的だが、周囲の反応をよく心得てなおかつ自身が独自だからこそそれに反応できる、ってな機能性に対する理解が必要なんだと思う。


しかし、別の記事だが、かの国の基調はおおまかにいえばずっとこんな調子。

「韓国民の心情を重く受けとめ、反省することは反省する」という談話の内容が日本の本心であるならば、言葉ではなく行動に移すべきだ。昨今の韓日関係の悪化は全的に日本側の挑発によるものだけに、“結者解之(結んだ者がそれを解くの意)”レベルでも日本が解決の糸口を提示するのが道理だ。日本国内の右翼勢力が隣国韓国の領土に手を出そうとする挑発行為を政府レベルで遮断し、右翼陣営の教科書の歪曲部分を検定の過程で正す努力を見せなければならない。

http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/03/18/20050318000083.html



実際には、主意の人が多いか、少なくとも公式の文章レベルではそうみたいだものなぁ。「昨今の韓日関係の悪化は全的に日本側の挑発によるものだけに」と、すでに検証なしで前提にもぐってしまうのがすごい。


そもそも、韓国の立場はともかく、北朝鮮という触れなば落ちん的な状態の国があって、その中では多くの人々がおそらく苦しんでいるであろうと察して悪い理由はなさそうなのだが、そのへんがまったく考慮されずに南の朝鮮の現在だけで物語が語れてしまうというのが、なんてかこう、バランサーどころじゃないだろうが、ではある。


所詮は他人である日本の側とすれば、下手にこの「下手を打つ男」の文言に捕われずに先回りしながらそれこそバランサーになっていくしかないと思う。どことって、シナとアメリカとのだし、EUがシナの後ろにいるとはいえ、そこは大西洋を超えてアメリカの後ろにある西洋社会でもあるわけで、全体としては結局のところ19世紀以来ずっと同じかもなでもある。