他jurisdictionの効用


Germany jails Ernst Zundel
By MELISSA EDDY
http://cnews.canoe.ca/CNEWS/Canada/2005/03/02/947489-cp.html

ツンデルは、ある種お約束通りドイツ、マンハイムのjailに収監されました、だそうだ。


本論とは別に、ここについていた写真(この写真はCBCなどでも配信されていた)を見て、写真って恐いよなぁと思った。普通ツンデルについている写真は黄色い服を着た、狂人めいた写真でそれがまたUFOだのなんだのという彼の「逝っちゃった」系発言とあいまっていたのだが、今日のこの写真をみたら、そうでない顔だった。


この事件に関するコメントで、私がいくらか気がかりになるのはいろいろあるのだが、まずは、一直線に、「ホロコースト」について修正とか否定とかだったから彼はカナダを追放されたんだ、というのは、さてどうなんでしょ・・・ってところか。


というか、実際彼が問題視された、まはた有名になったのはあまぎれもなくその問題なわけだけど、それをいうのなら、他にも有名人はいる。Irvingとか、Weberとか。イギリス人とアメリカ人だ。で、ツンデルが彼らと異なっているのは、彼が原国籍のポジションでそういうこと、もしかしたら世間騒がせかもしれないし、良くないこともかもしれないし、悪魔のようなこともかもしれないことを言っていないというところか。もちろん、それ以外にもキャラおよび実績の違いもいろいろあるようだが。

いずれにしてもこの問題は、

Canada deported Zundel, 65, on Tuesday after Federal Court Justice Pierre Blais ruled last week that his association with neo-Nazi and white supremacist groups threatened national security and "the international community of nations."


Born in Germany in 1939, Zundel immigrated to Canada in 1958 and lived in Toronto and Montreal until 2001.

He moved to Tennessee until he was deported back to Canada in 2003 for immigration violations.

http://www.thestar.com/NASApp/cs/ContentServer?pagename=thestar/Layout/Article_Type1&call_pageid=971358637177&c=Article&cid=1109803811432


こう書かれてしまうこの短い履歴こそがほかのどんな問題をも超えていたと総括することは可能だろうと思う。


さてそこで、では何が残ったか。ある国家にとって危険をもたらし得ると考えられる外国人をある国家は追い出し得るという判例だろう。善悪抜きで。


ちなみに、その悪評高いnational security certificateなるものが適応されるんだかされそうなんだかと言われている人は、あまりツンデルまたはその方向性とは全然関係ない人であることを一応書いておきたい。同じプロセスを巡っておそらく異なった対応がこれから見られる可能性はあるわけだが、その時どうするよ、ではあるのだ。


で、こういう事態を、国籍があるからこんなことになるんだ、と昨日の私のページにコメントした人がいたけど、私はこう、返す言葉がなかった。国籍がある、ってか、籍というのはかなりのところ日本に独特なアイデアだからちょっと置くとして、ようするに、ある個人がある国家と結合つけられている状態があるからこんなことになる、とその人は言いたかったのだろうか。しかしだとしたら、それって、国家という枠がなければいいのに、といっているのとかなり似ている。それならそれでいいだろう。しかし、それは現実的なことなのか? できるのか、そんなこと?


仮に、国家を形成するところのボーダーが全部取っ払われた状態があったとしよう。では人は生まれた時どこかに登録したりしなくていいことにするのか? では年齢の管理はどうする? すべて個人の申請によるのか? 学齢が来たら学校という仕組みはどうする? 好きな時学べばいいのか?


実際今でもこれに似なくはない状態の国家群または地域というのはあって、その人たちは他の国に来た時にそこで発行された証明書類の信頼性を巡ってやっかいなことになっているようだが、国家管理がない方がいいのなら確かに、彼らの苦労はなくなるだろう。しかし、同時にどこにも信頼すべき、可能な機構がなくなるということと同義ではある。


いやいやそうじゃないですよ、国家を超えた機構が管理するのです。ああそうですか。ではその機構を統括する人は誰ですか? 私にはこの新しい機構が、今現在ある国家群管理よりもフェアだったりより良かったりだろうという確証がまったく見いだせないのだが。


で、書いててばかばかしいわけだが、こんな発想がポコンと出てくるってところが既ににし、「欧州情勢奇々怪々」表明なのかなぁとも思う。


これまでの歴史の中で、他国があることによって、一体どれだけの人が思想的、肉体的に殺されずにすんだことだろう? もしそこが一つの国家だったら、一時的にせよ異論は認められない、ホールドできない状況が出来し、一時的にせよ異論の主は、収監されるか「転向」を迫られるかしないとならないわけだが・・・。で、この仕組み自体は今でもまったく同じだろう。でなければ、政治難民などないし、受け止める場はどこにも存在しない。


なんつーか、それを知ってるからイスラエルっつー国を新しく作った人たちがいるわけでしょ。周辺民が何と言おうと。


西欧人だけじゃなくて、孫文なんかもそうだったかもしれないわけだな、そういえば。


jurisdictionがないということは、実効値的には異論を保護してもらえる先がないという意味だったりするわけで、すんごい事態だと思われ。



どうでもいいのだが、要するに国家を粉砕せよぉ、という語やらアイデアにあっさり、実はよく考えてみたこともなく賛意を示す人というのは、古いもんばっかり読んでるんじゃないのか?など思えてならない。


昔の帝国主義国家の戦争はいけないが、社会主義共産主義群の戦争はいいんだ、とか、帝国主義群の国家は叩くべしでこのナショナリズムはまったくエゴのむき出しだが、帝国主義群の犠牲になった、または植民地群になっている側のナショナリズムはOKだ、という、私にはあんまりよくわからない思想の系統の人々が残した単なる思想的傾向の残滓だと思うんだが。圧倒的につまらんし、なんて差別的なアイデアだと私は思う。