不正なのか否か:oil for food program scandal

日本の新聞にとって国連のoil-for-programって何なんだろうか。というか、国連って何なのかについての見解を欠いているから(そんなバカな)、そこで不正があろうとなかろうかどう取り扱っていいのかわからんからパス、なのか、それとも、何か意図があってフォローアップに不熱心なのか。


国連ヴォルカー調査が発表された
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2005/01/post_8.html


国連直轄領ではないのかとの疑惑のある(ないけど)カナダの、そのまた直轄領歓迎派ではないのかとの噂の濃いトロントスターだが、9日付けのAPを使って、


Oil-for-food audit finds fraud, mismanagement
http://www.thestar.com/NASApp/cs/ContentServer?pagename=thestar/Layout/Article_Type1&call_pageid=971358637177&c=Article&cid=1105312209503


と颪い討い拭?海離織ぅ肇襦fraudって身もフタもなく、たとえ業界慣行でこれを不正と訳しますと言おうが現地語感覚ではこれは「詐欺」だ。scamより上品なような堅いような気がする(ほんとか?)とはいえ詐欺は詐欺だ。で、まぁ監査の中でどんな意図であれあきらかに、ダメっしょそれはというのが発見されている以上詐欺と書かれても仕方ない(6月は30日までしかないのに31日付けで数年請求されてるとか。バカか)。そして人びとがこの問題を話すとき、まずまちがいなく、まったくもうscamだよな、と言う、と。


イラク不正疑惑:
石油と食料交換プログラム、ずさん管理
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20050111k0000m030055000c.html


これは毎日の記事。

国連高官の不正などの証拠は含まれていないものの、同プログラムを監督していた「イラク・プログラム」事務所が水増し請求などずさんな運営を見過ごしていた実態が明らかになり、同委員会は「国連の内部監査では適切な監督が行われず、勧告も無視されてきた」などと指摘した。


という立ち位置だから、audit、監査が、身もフタもない請求及び支払いを見つけたところまでは別に不正ではない、ということになるのか。まだ疑惑だってことか。では、その不正とは、高官がからんだことがはっきりするとか、それで実際そのプログラム使用にあたって誰を利したのか、という全貌が不正、あるいはそういうの全般をさして「疑惑」とか言っているのかな、なんとか「疑獄」みたいな感じ。そういう使用法か?毎日新聞。冷静に考えると、なんか、ものすごい太っ腹だ。[下に追加あり]


で、その「疑惑」の意味を若干も糞もなく通常飛ばしの新聞として有名な、ワシントンタイムスが、サダムがこのプログラムを不正使用してた話、と書いているのが興味深い。これはこれで、ふ〜んという感じか。もっと他に「疑惑」は広げ得るわけだが。


Saddam misused oil-food program
http://washingtontimes.com/national/20041005-022528-7849r.htm


[追加]

なるほど、ではある。今般に関する「不正」とは以下のような事柄に限定されるものとみなす、と。

The reports from the U.N. watchdog -- the Office of International Oversight Services -- found ``no irregular activities'' or corruption on the part of U.N

http://www.nytimes.com/reuters/news/news-iraq-un-audits.html?oref=login


UNの報告書が言うには、「普通でない活動」とか汚職は見つけられなかった、ということらしい。で、この部分を「不正」と日本語環境の各紙は書いているわけね。そういうわけで毎日に対しては半ば私の言いがかりであったと認めてもいい。下の共同の見出しの方がまだ適切か。が、しかし、それでもやっぱり「不正疑惑」ってのはへんだよなとかは思う。でもって、日本語環境だと、ここまで見たように、詐欺 fraudも詐欺 scamも、汚職 corruptionも、み〜んな「不正」と呼ぶ可能性があるし実際そう訳す慣行のあるのだなとあらためて気づく。smugglingもそうだな。最初の頃にはsmuggling over oil for foodとかいうタイトルで見ていたような気がするけど、これを「密輸」にしてしまったらなんだか意味が限定されてしまうが、これは不正な交換一般に際して使用されるからこれも「不正」と訳されるんだろう。


イラク人道事業ずさん運営 国連内部調査、汚職は否定
http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/kokusai/20050111/20050111a3020.html



まぁその、mismanagement、管理がだらしなかっただけだ、にしてしまうことが可能な形態が選ばれているわけだ、とも勿論言える。引き続きウォッチでしょう、当然。


wikipediaのOil for Food program
http://en.wikipedia.org/wiki/Oil_for_Food_program#Supposed_Ties_to_international_terrorism

国連とかアナンの項目から、oil for food program scandalで飛べる。いや〜こんなにエントリーがあるのかぁと驚く(最新をキャッチアップしているということではない。これまでのところ、だ)。


一方我が邦はどうか。

コフィー・アナン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%83%B3


なんかこう公式のバイオグラフィーだった。そしてどこにも飛べない。


wikiだけで判断するバカはいないが、しかし、このへんが充実することが可能なほどこれら国連に関わる問題(その中には、当然ながらイラクでの戦争も、湾岸戦争も含まれる)に興味のある層が日本語環境には欠けているということなのだろうか。もちろん私だってえらそうなことは言えないわけで、だったらオマエがエントリーしろよ、なんだなとはわかっているが、なんか私のテリじゃないでしょぉ〜?みたいな気はするのよ。能力云々以前に。もっととってもこのあたりに興味関心を抱く人ってマスで存在しないといけないのじゃないのか?