そして攘夷か開国か/保守とは何か

先週から断続的にやっているこのシリーズですが(笑)、このシリーズに対しての、カナダ選挙総括から得られるものは、まず、保守とは何かについての新しい解釈ではないかと思う。少なくともそれを視野に入れることの有効性を理解しよう、と。

この場合、保守派とは、その地に住まいその地を媒介にして共同体となっている人々にとってのある種のデフォルト・スタンダードを体現している人々のことだ、と定義する。

そこで考えるに、カナダの保守派とは、現在のリベラルが最もよく、あるいは比率的に高く体現している、と私は考える。

例えば、ヘルスケアは、多少いろいろ問題があってもあった方がいい。自分の財布から考えたら、ま、50年単位で考えたらトントンか赤字だとしても、といった考え。この理由は、だって「なにごとか」あるかもしれないし、という意味で保険理解的が最大手で、勿論人によっては、貧乏だからって医者にかかれないなんていう考え方がイヤだという倫理からの人もいるだろう。

また、理由がちゃんとしてないのに戦争するのはまちがいだ、ってのもある。(日本の新聞はアメリカとの関係でしか戦争を考えてなかったがもっと原理的だ)

で、これを適度に体現しているのはリベラルだ。かつ、これはここ1、2年のことではなくて、多分20年ぐらいこんなところにあるようだ。私はこのスパンで保守を語る。つまり、保守と伝統を曖昧に同居させないで考える。

となると、この保守に対して、今の「保守」は、reformerである。reformerとは改革者であり、過激にあれば革命的とも呼ばれ得る存在だ。今の「NDP」ももちろんreformerだ。こっちはただ現在の保守に対しては革命的になることはなさそうだ、という意味でreformer度は低い。

と、これらreformer群は、だから、革新群と言ってもいい。

こんなことを考えているのは私だけではないようで、昨日読んだ新聞の中にあった小さなエピソードによれば、The Economistの記事に、

「今ライトがやっていることは、レフトが60年代にやったことだ」

というのがあったのだそうだ。

カナダではこの事情がかなり理解されている。だからレフトだから急進みたいな「誤解」は総じていえばない。だいたい、元の保守党の名前PCは、Progressive Conservative 急進保守党だし。