異論吸収システム不在の自由の国はあるのか/よかった!変じて「偉大

夕べの小沢氏の「弁明」は一体なんなのだというのはまだわからないのだが、今朝気がついたことはまた別のこと。

アメリカの根本的な問題点は、
異論吸収システムがないことなんだろうということ。

例えばそれは、
http://d.hatena.ne.jp/Soreda/20040228

ここにクリップしたのは、アメリカの脱走兵をカナダが収集する、そうしろ、すべきだだってカナダじゃん、というイギリス発の安易な記事への私の反発。

で、しかしなぜそうなるのか。つまりベトナム戦争の時だってカナダに大量の兵隊さん及び親族が脱出してきた。脱出と書くけど、ようするにこれは「亡命」だったわけだ。

つまり大量に亡命者を出した国だ、というのは、当然その国内の異論吸収システムは疲弊しているか機能していないということだ。規模は小さいけどソ連を笑っている場合ではないのだ。

それにもかかわらずそのことが大して問題視されなかったのは、

1)戦争ってそういうものだ、
と安易に、中身も考えず多くの人が納得した。しかし多くの人と書くけど、実はそう納得した最大手は日本かも?という疑義を持つことは可能。なぜならその後もアメリカ本体は脱走した兵隊さんの処遇を巡って、結構しばらく手間どっていたらしいことが今日わかっているから。脱走してカナダというガイコクに出てしまった人はそれでいいとして、国内にも戦線に行かない人はいた。それを条件付きの恩赦という形で、要するに国家反逆ステータスから平民に戻して行くにはかなりの手間がかかったらしい。この間中当然に人びとは傷をなめる。

2)自由の国だから
アメリカは自由の国だ、という看板があるために、なんというか、これがフタになって誰もつっつかないという心理的傾向は存在するんじゃないのか。別の言い方をすれば不名誉だからさわりたくないということか。

しかし不名誉だろうとなんだろうと、この傾向は自由民の行く手を遮る国家になっている事態を隠蔽するために機能してしまうだろう。

こういうのを30年間で2回やったわけですね。このツケは小さくはないでしょう、やはり。

さてしかし、いいんです、アメリカのことはアメリカが考えれば。問題は、この見通しに立って、日本にとって不都合にならないように、ハンドルをきっちり握って同じように脱線しないようにすればよい。それが、最終的にはもしかしたらアメリカのためにさえなるかもしれないぐらい考えれば良い。

考えてみても、カナダが頑固一点ばりでいたために異論を収集するために一役買ったとだっていえる。つまり一時的なショック吸収剤になったわけでしょ、アメリカ国民の少なからぬ人の良心を回復不可能なまでに死に絶えさせるよりは、移動=亡命させた方が先のためにはいいかもしれないんだから。

多分こういう発想法が近代なんだろうと思う。(アメリアが中世くさいことをしている、と昨年さんざん言われたけど、それは確かにあたっていたのだ)

そしてさらに余計なことを書くなら、こういうカナダのような役割を保持することによって全体として何が達成されているのか。それは多分革命ぼっ発防止じゃないですか(笑)。

笑うけど笑いごとでもなくて、自由主義者が最も嫌うものは革命だ(私有財産の根拠を根こそぎ覆されることぐらいの恐怖はない)というのは今に生きる真理だと思う。