面舵一杯

光陰矢の如し、とサラで打ったら変換された。へぇ。
なんにせよ、冬至もすぎたのであとは夏に向かうだけと自分に言い聞かせながら寒さをしのぐ今日この頃。とはいえ今年の年末@トロントは基本的にはかなり暖かい部類のようで、現在気温2度。体感でマイナス2度ぐらいの模様。2週間ぐらい前にマイナス15度レンジの時節があったので、それにあわせた身体の作りをしている人々(私もだが)にとっては、急に何だか温くなって何を着たらいいのか困る期間となった。ここで油断をすると風邪をひく。


なんども書いているように、マイナス10度以下になると菌も死ぬから風邪も糞もないのに対して0度近辺になると、じめじめして風邪をひく、というのがここのコンセンサス。最初はそんなのってありかぁ?と思ったものだが、次第に、それってホントかもと思うようになった。ただし、マイナス10度以下の極寒レンジで風邪(というか、体調を崩すとというべきか)をひくと、直るに直せなくなるというリスクもあるけど。


と、それはともかく、月日の流れは速いもので、そうかここから1年なのかなどふいに思い出したのは、去年の終わりの記事。


2004-11-24 TIMESアジア版:アジアの奇妙なカップ
http://d.hatena.ne.jp/Soreda/20041124


2005年の大きな話題の1つはチャイナの「反日」もので、その具体的な、ある種の検証みたいなものはこの春のいわゆる暴動騒ぎによってもたらされた格好になったが、それを遡ること約半年前に、TIMESのアジア版が日本とチャイナの関係についての結構大きな記事を出し、この中に、チャイナにおける反日教育が取り上げられていた。反日教育をしているとは以前から言われていたものの、日本国内を含むチャイナ以外世界ではあまり信じられてはいなかったか、あまり話題になっていなかったかそのどちらかだったかと思うが、このあたり(この記事がきっかけだったとは言わないが)をきっかけとして、そうか、そうなのかとなっていったかと思う。


対外的には、これ以降、あるいはその反日騒ぎがあったおかげで(そして靖国が続く限りにおいて)、日本は過去にチャイナという大陸において芳しからぬことをやった、しかしそれっきりってことはなくて、つまり謝罪を含む反応をしており、さらに、極めて大きな資金を出して経済復興なりを助けているという話が何度も語られた。(むしろ、日本では語られていないといってもいいかもしれないぐらいかも)


それから一年。


扶桑社教科書の不採択運動 中核派、深く関与
http://www.sankei.co.jp/news/051227/sha024.htm

警察庁は、扶桑社教科書採択阻止について、中核派が(1)イラク問題(2)「日の丸・君が代」問題(3)東京都議選−の「三大闘争」と同等に重視したと分析。「『つくる会の教科書採択に反対する杉並親の会』と共闘して、市民運動を装いながら、杉並区役所の包囲行動、同区教育委員会への抗議・申し入れ、傍聴等に取り組んだ」と記述した。


公安警察がどう言っているかはともかく、ある特定の人々がこれらの問題を常に「リード」しているようだというのは、ある程度普通に感じられ、あるいは推論されてきたことだっただろうと思う。だからある意味で、今さら書くことでもないような気さえしてしまうし、公安警察に言われないとわからないことでもなかっただろうよなど言いたいものもある(こういう組織に過度に従順になる態勢は私にはない。付かず離れず)。それが、まぁ、そういうことだったんだなと落ちて行ったというのは、この1年の国内的な整理か。



上海総領事館員が昨年自殺、「中国が機密強要」と遺書
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051227i401.htm


で、外務省が抗議をしたよ、というのが明らかになったところで、

外務省、ウィーン条約に違反と中国を批判…館員自殺で
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20051228i114.htm


AP伝。
China Slams Japan Over Suicide Allegations
http://www.forbes.com/business/businesstech/feeds/ap/2005/12/29/ap2418747.html

China accused Japan on Thursday of "vile behavior" for blaming the suicide of a Japanese diplomat on Chinese agents, setting off a new round of tensions between the Asian rivals


そういう嫌疑をかけるのは不道徳だとチャイナ様が怒っているというところで2005年は終了となるのだろうが、来年は大変な年になるんじゃまいかと思わずにいられるネタはほぼない。

 後ろを見る


で、そのチャイナ動向で最も気になったのはこれ。


中国農民、2600年ぶり“年貢”から解放
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20051225i112.htm

【北京=藤野彰】中国で1958年以降約半世紀にわたって施行されてきた「農業税条例」が、9億農民の経済負担を軽減するため、来月1日から全面的に廃止される見通しとなった。


記事からは詳細がわからないのだが(私には、だが)、これはつまり別に農民がタックス・フリーになったという話じゃなくて、地租に対しての税金じゃなくて個人の収入に対するお金になりましたという意味だろうか? でもって、それは地方税からチャージされる、など思ってみたりもするんだが。あくまでこの件に関する私の知識は限られているのでなんともいえないのだが、なんというか、これってあのそので、農民が現金収入を得るしかない状況にさらに拍車がかかる、移動を推進する、しかし都市部を中心とした社会組織は農民分をカウントしてません、さあどうしましょうかになる、とこういうことか?


そのチャイナの農民に関しては、昨年禁書になったとかいうふれこみの「中国農民事情」という本があちこちのブログで言及されているのを見た。


中国農民調査


欧米圏は、今年は毛沢東本でおなか一杯だろうが、これと組み合わさった時、人々のチャイナに対するイメージはどういうものになるのかなと、ひとごととはいえ恐ろしいものがあったりはする。欧米人にとってチャイナとはマーケットであってそれ以上でもそれ以下でもあった時はないと言って言い方と思われるんだが、されここから抜け出す人はいるのか、それともこれだけはこのままなのか、そのへんも2006年の注目だなと思う。


それはともかく、あらと思ったのは、

マオ―誰も知らなかった毛沢東 上



この本のカバーはずいぶんとおとなしい。ユン・チアンの本の(つまり下の)インパクトがない。
私がそこらの本屋で見る、つまり欧米人にとっての「知られざるマオ」とは、この形だ。どうしてこのカバーではいけなかったのだろうか。 
また、なんで「マオ」なの? 日本語だったら、毛沢東で決まりではないのか? 遠慮? 誰に?

Mao: The Unknown Story



<参考>
農業税撤廃についての記事。

(1) ロサンゼルスタイムス発信ベース

Rural residents long have complained about a system that requires them to pay the tax no matter how much they earn from farming, or even whether they are tilling their land. The tax is determined by how much land a family is allotted, regardless of how productive it is. Rural residents who move to the cities but still have farmland also must pay.

Urban residents receive better education and medical services. The health-care system in the country is near collapse. On average, farmers die five years sooner than urbanites.

http://seattletimes.nwsource.com/html/nationworld/2002711273_china30.html


(2)AP伝ベース

The lack of security prevents farm families from using their land as collateral for bank loans. And it makes many reluctant to invest much in land that could be seized at any time by local officials keen to sell the land use rights.

http://abcnews.go.com/Business/wireStory?id=1451528&page=2


<参考2>
Mao: The Unknown Story のイギリス版(だと思う)。
表紙を見比べてみよー。

http://www.amazon.co.uk/exec/obidos/ASIN/0224071262/203-8697414-7932711


このページを見ていたら、Maoを買った人はこんな本も買ってますの欄に、

Generalissimo: Chiang Kai-shek and the China He Lost?
というのがあった。蒋介石と彼が失ったチャイナ、と。いい組み合わせだ。ちなみにこの本もイギリス版は下の表紙(これははまぞうから取った)とは違うようだ。

Chiang Kai Shek: China's Generalissimo and the Nation He Lost

Chiang Kai Shek: China's Generalissimo and the Nation He Lost