The Man-Made Disaster
http://www.nytimes.com/2005/09/02/opinion/02fri1.html

ニューヨーク・タイムズの社説。ハリケーンがもたらした災害は、人災だと。
で、何が人災かといえば、連邦政府(つまりアメリカの政府)の対応が遅いのと、各州の兵隊さんたちがイラクに行っていていない、だから秩序維持ができなかったんだ、他の国の平和ミッションなんかやってる場合じゃないだろう、ということらしい。

One lasting lesson that has to be drawn from the Gulf Coast's misery is that from now on, the National Guard must be treated as America's most essential homeland security force, not as some kind of military piggy bank for the Pentagon to raid for long-term overseas missions. America clearly needs a larger active-duty Army. It just as clearly needs a homeland-based National Guard that's fully prepared and ready for any domestic emergency.


しかしながら、世界中の人々は、それはそうとして、でも、それって何?と思っているのではないかと想像。州の兵隊がいないと州のセキュリティが守れないとはどういう意味なのか、と。


もちろん、アメリカ独自の理由もあって普段警官とか何がしかのセキュリティ関連の職務についている人が兵となって出かけるとかいうのもあるらしい。だから州に残されているセキュリティ関係者が少なくなる、と。


しかし、それにしてもそれにしても、兵隊という武装のプロがいなければ全体としての秩序が守れないという地域は先進国には殆どないのではないのか? アメリカだけだよ、そんなのと世界中の人々はテレビの前で言っていたのではないのかと私は思う。


でもって、これら新聞の姿勢も問われるよなぁと私は思う。秩序だてて救援を待て、あるいは、食料を調達するにしても残された人々の中で秩序を作って調達しろ、あくまで無法にはなるな、とは呼びかけられないのよね。


つまり、緊急事態に際して嘆くのはわかるがもう少ししっかりしましょうよ、あんたたちと呼びかけられない。それはつまり、自分と同じ国民だと思ってないからじゃないのか? もし同じ国民なら、まずはそれらの緊急事態に対して邪魔になっている人に対して、お前らいい加減にしろ、というのがまず筋だろうし、政府の対応が遅いのがわかってきたのなら、こぞって、落ち着け、とか今こうなってるんだとか呼びかけることも必要だろう。


そして人々から暴動への導火線を取り除いてこそ彼らを受け入れる自治体なども出てくるのじゃないのか? (民間飛行機を使って米軍基地に運ぶ計画があるようだ)


NYTって東部のリベラルだなぁと思う。
政府を非難して得するのはいつでも政争の中にある人だけだから。

 非難は安全地帯で、か。

当局は近隣州に避難者を移しているが、市長が「もっとバスが欲しい」と全米に訴えるほど交通手段が不足している。バスを脱出用にカージャックするために発砲し、患者を移送中の病院関係者も銃撃された、と現地メディアは伝えた。

略奪凶暴化、救援隊に発砲も 治安失うニューオーリンズ
http://www.asahi.com/international/update/0903/001.html

昨日からそういわれていたが、やむ気配がない?・・・。
最悪というかなんというか、州兵では対応できない事態となって、連邦軍投入になるんだろうか? そんなのありなのかと驚くがなくはないのかもしれない。

しかしそれ以上に驚くのは、主要メディアのどこを見ても、政府の対応が悪い、州の対応が悪い、か、そうでなければ、アナーキーになっているという事実のみ、というのが主流であること。そりゃ確かにそうだが、自然災害に乗じて発砲騒ぎを起こしてカージャックする人たちの性質の悪さは全然棒引きにはならないと思うんだが・・・。

とはいえ、彼らを悪いと断ずるかわりに、映像を流す。結果的にはみんなおんなじこと思ってまっせ、でも口にしたら後で何を言われるかわからないからな、ということだろうか。それなら政府批判は安全だと。私はこれこそアメリカの闇だと思うわ。

常識的なジャッジメントが可能な黒人の人たちがまた苦労するだけだなぁとか思うが、要するに、それもこれも、悪いことをしている人をその行為によって等しく責めればすむ話だと思う。そうしないで、人種によってとか環境によってと遠慮しているから、結果的、長期的には、常識的な人たちを苦しめることになる。

とか書いてるけど、いささかのアメリカ暮らしから学んだところでは、アメリカではこの闇は改善の見込みはあまりない、とあきらめられているものでもあるように思う。

普通の人々はともかく、ニューオリンズの市長がやたらに連邦政府だけ責めているのは、ちょっとへんなんじゃないのかという意見はあるようだ。避難のためのロジスティックスがまにあってないならないで何とかしようとしたのか、市長?ではあるんだし、その後の対応は州の管轄なわけで、うかつに連邦政府が口出しできないはずだから、この知事の判断のタイミングはどうなのかもやがては非難されることになるだろう。

ニューオリンズ市長は政治経験のない、元メディア関係者のようだ。そうであるなら受けを狙ってブッシュ非難を決めたつもりだったかもしれないわけね、など言いたくもなるが、とりあえずその意図がどこにあれ彼が大声でブッシュを叩けば叩くほど、静かに、むしろ逆効果になってるかもしれない。あんたはどうなのさ、と。

また、取り残された貧しい人々と一緒にいるのが俺の務め、とばかりにニューオリンズを離れないという姿勢も判断の分かれるところらしい。つまり、これによって周辺地区や州、連邦とのコミュニケーションが取れていないじゃないか、それじゃ援助計画に支障をきたしてるじゃないかということらしい。各レベルの人を使っていわゆる陣頭指揮をすることが必要なのに、the poorから離れないことを自分の使命としている、と。(そのわりにコアの混乱地区に入っていかないというthe poorの側からの批判もあるらしい)

指揮官じゃない人を指揮官にしてしまったんだな、ということかもしれない。

Newcomer Is Struggling to Lead a City in Ruins
http://www.nytimes.com/2005/09/03/national/nationalspecial/03mayor.html?pagewanted=1&ei=5094&en=ddb1c03f17d6bdd4&hp&ex=1125806400&partner=homepage

 な、なんだ!


アメリカも相当おかしいが、日本もおかしい。朝日の川柳にはびっくりした。最初2チャンネルの作り話かと思った。被災してる人たちがいるってのに「直撃」と笑いネタにするというのはアングラで、悪態をつきながら、それによって罪悪感を中和させているという状況下でならわからないことはない。がしかし、ストレートの新聞でしょ?何してんの、だ。


でもって、これもすごい。この写真。オームかと思った、つか、当時を知るものとしては、まんまやんけ、という感じ。



衆院選:着ぐるみ使い「年金カエル」 名古屋の候補者
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/05shuinsen/news/20050903k0000e040053000c.html