タックス・ヘイブンの異聞


そうは言っても、実際問題、フランスとドイツはこのサミットに満足してないと既にわぁわぁ言っているのでその帰結がどうなるのかも興味深い。

その中で、フランスが特に、タックス・ヘイブンの問題を言い続けており、それはもう今も昔も同じ英米との間の悶着かと思っていたら、チャイナもからんでいる様子。


なんでも、タックス・ヘイブンブラックリストを作るから云々という話らしいんだが、それ以外にも、もっと大きくOECDが税務の基準を実施しているところとそうじゃないところを分けて、管理するんだかなんだか、なんせ監督に向けて踏み出したい模様で、

ガーディアンの記事によれば、OECDが考えているタックス・ヘイブンの分類は、


1.国際的な租税基準を実施している国
  イギリス、米国、フランス、ドイツ、チャイナなどの国々

2.国際的な租税基準の実施を約束したが、まだ十分に実施していない国
  アンドラモナコ、ジブラルダル、リヒテンシュタイン

3.国際的な租税基準の実施を約束したが、まだ十分に実施していない金融センター
  スイス、シンガポール、チリ、EU3国(ベルギー、ルクセンブルグオーストリア

4.国際的な租税基準の実施を約束していない国
  コスタリカ、マレーシア、フィリピン、ウルグアイ


なのだそうだ。

この分類からするに要するにいわゆる普通の国が1なんでしょう、多分。


で、今回のG20でさり気に激しく問題になっていたのが、香港とマカオ

前者はイギリスが、後者はポルトガルが長らくタックス・ヘイブン他諸々の活動拠

点としていた植民地。

FTによれば、この香港とマカオをリストに入れるか否かで、フランスとチャイナが

激しい論争をしていた模様。

ガーディアンがもう少し詳しく書いていたのでそれを見ると、

Nicolas Sarkozy, the French president, had been pressing for every country – or in the case of the former colonies, every region – in the world to be included in the OECD list. But Hu Jintao, the Chinese president, succeeded in exempting Hong Kong and Macau from the list, though they will eventually be included.

サルコジは、全ての国、すべての元植民地をOECDリストに入れろ、と主張し、チャイナの側は、香港とマカオはいずれ入れるにしてもリストから除外するよう主張していたのだそうだ。


で、チャイナは今年後半にOECDに入ることになっていて、OECDはパリにベースがあるので、ガーディアンによれば、チャイナはここにモニターされるのがイヤだ、と。


タックス・ヘイブンといえば疑いもなく、イギリス、アメリカ勢だが、こんなところにも問題があったのかと、よくよく考えればいまさらだが、ほぉと思った。


そういえば、夕べ、日経オンラインにタックス・ヘイブンの告発グループの記事があった。


シリーズ 金融危機、影の主役 1世界経済に根を張るタックスヘイブン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090401/190741/


この中で、このチーフの人は、調べれば調べるほど結局イギリスなんですよ、みたいなことを言ってもいたし、それはそれで嘘ではないのだが、とりあえず、(実際にはいろいろ抜け道作ったりなんだりがあるのだとしても)、イギリスのゴードン・ブラウン首相は、タックス・ヘイブンにお金入れてる企業、個人、もうそこは安全地帯なんかじゃないからな、と警告を発している・・・。

その一方で、香港、マカオが焦点になっていたわけだすね。


イギリス勢がフランスを目の仇にするのはある種様式美だけど、考えてみれば、香港あたりを中心に見ると、イギリス+チャイナは連合軍だというのもあるだしょう。イギリスは、インドからチャイナにある程度の強いハンドを維持することが国是だろうし、それこそが国の将来ってのは動かないでしょう。BBCワールドなんてこのへんを自分のテリと信じて疑ってない風が興味深い。

とりあえずそんなブロードじゃなくても、具体的には例えばHSBCの将来を考えても、イギリスは、どういう事態であれ、チャイナと正面切って事を荒立てるなんてことは、にっこり拒否したい、でしょうね。


香港は独自通貨を使っているわけだから、タックスだけでなく、こっちでもホット可能性はあるのかな、とか考えると、なんか、生々しい?

サルコジ氏は、サミットが終わってもまだ、幾つかの金融センターがOECDの基準に合ってないと主張しており 諦めていない模様。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=afTpUUPzppmU&refer=home