続・こういう人をなぜ出す


まるたまコピー持って謝罪「住民税は払っております」
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070718-OHT1T00058.htm

海外勤務後、住民票の転入手続きを怠り“選挙権なし”となった元テレビ朝日アナウンサーの丸川珠代氏(36)=自民、東京選挙区=が16日、同社勤務時代の源泉徴収票のコピーを公表。住民税の支払いを証明した。


昨日あんだけ恥をかいたんだったら側近等々の人に聞いて、何がどうなってるのかを少しじっくり知ったらどうだったんでしょうか、などさらに言う。

住民税は多分源泉徴収という欄にはなかったはず。特別徴収とかなんとかいう。所得税とは別のものでしょ?
と、そのへんの言い方は重箱の隅としても、会社が源泉、代理徴収しましたよ、というのと、納付されましたよ、というのは別なので、自分→会社のラインが確定でも、この話は「住民税の支払い」の証明にはならない。持ってくるなら納付証明とかそういう、役所から当人宛に出されたものじゃないと意味がない。

ここもとりあえず重箱の隅だとは自分でも思うけど、問題がせっかく発生して時間があったのにまだそんなことを言っているのか、という点で昨日よりもさらにマイナス点を獲得していると思う。


そもそもサラリーマン時代をちょっと離れてしまった私がこんだけ、普通に、あれ、それって?と思うんだから毎日電車乗って通ってる人はもっとテクニカルに、あれ?だったでしょう。そして、このお嬢さんの言ってることを聞くだに、だれる、という具合ではなかったかと想像してしまう。まして、住民税があがったという騒ぎの渦中ではあるのだ。


問題は、おそらくこの候補者は、問題の図式および広がりとはそのようなものだという構図にまだ気づいていないだろうという点。この鈍さは、ある種の芸人にはいいとは思うが、昨日と同様、政治家に求められているのは芸術性ではない。

小市民が営々と払う税金の使い道をどうしたもんかとアイデア豊富にテクニカルに考えてくれる人だ。もちろん本当のテクニカルな部分は役所という専門集団がやってくれるにしても、基本的な仕組みがわかっていないんだったらアイデアをいくら出したって、無駄。無駄じゃないとしたら、その宙に浮いたアイデアを具体的なレベルに落とすある種の解析者、通訳者が必要だが、そんな人をつけてまで彼女のアイデアを買いたいと思う人は、おそらくほとんどいない。


でので、話が早い人というのはいるわけで、昨日は知らなかったがレクチャー一式で一通りわかっちゃうという人がいる。そういう人も結構政治家に向いてるんだろうなとは思う(但し、今日わかったことを明日忘れる、短期記憶型一本やりみたいな人ってのもいるけどそれでは困る。プロジェクト完了までは覚えてもらわないと。)。しかし結果的には、この候補者はそれでもなかった。

 丸川氏はニューヨーク勤務から帰国した04年〜06年の源泉徴収票コピーを手にして「住民税は払っております。給料から引かれてるので手続きは済んでいるものと思っていました」と釈明。事務所では「住民票がなくても住んでいた実態があり、課税されていたようだ」と話した。


事務所もものすごく鷹揚(笑)。


それはそれとして、へぇと思ったのは、さすが税務署、もらったらとりあえずなんでも受け取っておくということなのかな、という点か。
おそらくテレ朝は預かり金勘定とかそいうのでプールして、社員の居住地を統括する各税務署に送る。で、その際に受け取る側では納税者とその住民票というのは連動しない、ということのようだ。
別の言い方をすれば、納付された、居住実績もある(=課税する権利は問題ない)、しかし、この人の住民票はない、で放置なのか?
 
多分、仕組み上フラッグは立つんじゃないのかという気はまだする。立たないのなら、それはそれで仕組みとしてちゃんと運用すべきなんじゃまいか。そもそも各種事務処理の基本になる台帳だからという意味でなんだと思うが、住民票を速やかに移動して提出しないと罰則規定があるぐらいなんだから。

・しかし自治体側からすれば、税金は納めてくれるけど自治体が提供し得るサービスはすべていらないと言ってるも同然の人なんだから、あえてフォローする意味もないということなのか?それなりになるほどだ。
・むしろ、個別の目的をカバーする仕組み内に、例外規定、見なしによる処理が膨大にあるために、基本台帳と連動させずに動かしても別にいいことになっている、というのがデフォだということか。
・あるいは、台帳連動型にしないで、個別目的ごとに横で串刺しして行く仕組み(ある意味で台帳のないアメリカが背番号によって達成しようとしているようなやつ)にしよう、という途中だから台帳の重要性が現場では薄れているのか?
などという疑問を持った。