テロ事件と長い影 その2


あらここにいた、と思って読んだ。朝日の社説。

こうした残虐なテロが続く背景には、さまざまな要因が絡んでいると見るべきだろう。パレスチナ問題、米英主導のイラク戦争、中東諸国の民主化の遅れ、経済格差、欧米に対する劣等感。どれもやっかいな問題ばかりだ。


その結果、国際テロと国内テロが結びつき、テロの連鎖となってあらわれてきたとすれば事態は深刻だ。

中東テロ 何が憎しみを生むのか
http://www.asahi.com/paper/editorial20050724.html


エジプトでのテロの話を営々書いているのだが、ではなにかい、パレスチナの問題、経済格差、そのうえ個人の劣等感まで解消されるまでテロは続くというのか、と、そういう具合だろうか。


で、前に書いた通り、問題はこういうことだと思う。

テロ を引き起こす人々とは、全体としての ムスリム とは違うんだ、という時何がこれを分けているかといえば、それは ムスリム の中での 過激派 と穏健派ともいえるが、 クライテリオン は、 テロ を引き起こす人々とそれ以外とも言えるだろう。で、後者の クライテリオン がムスリム か否かよりも優先されるから、堂々と、 テロ を引き起こす人々を断罪できる。が、この優先順位が 曖昧 だと、 ムスリム にも言いたいことはあるんだし、やっぱり 欧米 の無茶が・・・と来て、むき出しの武力だけでは テロ を抑え込めないどころか、はびこらせる結果にさえつながる云々、が落としどころとして採択される、と。

2005-07-18 テロ事件と長い影
http://d.hatena.ne.jp/Soreda/20050718



つまり、朝日は(ここに限らないんだが)、特定のテロリストたちを、勝手に、どこかの母集団と結び付けて論じている。しかしそれはまったくわからないのだ。わからないのにそう論じているという意味では、たいした理由もなくイスラムとみれば恐いものと言い出しそうな人と実は基本線は同じなのだ。同じだが、単純にインターフェースが異なっていて、方や、恐いけど、彼等は同じ仲間だといわねばならない、という表面を持ち、方や恐いもんは恐いだろうがごらぁ、というインターフェースを持っているというのにすぎない。


で、いっつも思うんだが、こういう人たちって、実のところ、テロリストを捕まえてみたら、全員ばりばりの先祖代々欧米育ちの白人だったってことだったらどうするんだろう?? 


例えば、今の情勢からいえば、なにがいいだろうか、そうだ、反グルーバリズムを頭っから正しい運動だと堅持してしまったフランス人とドイツ人と、ついでに、自国の歴史の残虐さからいかんなく自虐性を発揮したアメリカ人が集団を作って活動していたとかいったらどうするんだろう?


なんなら、もとを正せば西洋人こそ非道であると語り出したら奥が深い日本人がそこに加わっていてもいいし、その他私には思い付かないけどいろんな主義主張を過激に奉じる人々が先進国にいないわけでなく、また、資金やその他のリソースが豊富なのはいうまでもなくそちらだ。そしてそれは混合かもしれない。であればそれは地域というよりは、実は思想であり利権かもしれない。


もしそれらのことを排除できないのなら、経済格差も、欧米への劣等感も理由にはならない。それらテロリストの個人の私的な受け取り方としてはあり得るにしても、その個人的な理由を人々はなんと考えるだろうか、というのはまた別のことだ。というか、こうやって例を変えてみれば、経済格差や劣等感云々というのが、テロという個人的な行為を正当化できる理由にはならないことがただわかると思う。


馬鹿げた仮説だといわれるだろうが、しかし、朝日にも私にも本当の犯人がわからない以上、どっちもどっちではあるよ。


それにしてもこの社説はひどい。ま、朝日に考えを変えろとうのは、私に、オリンピック選手になるために努力する日々を送ることにせよ、とかいうのと同じぐらい無意味で困難なことのような気はするけど。