G20・2つの意味

悪口を言うつもりではまったくなくて、なぜこのようにすっきりしているのよ、日本の記事、など不思議な感覚に襲われる。


社説 危機脱却へ決意を示した金融サミット(4/3)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20090402AS1K0200402042009.html


いやまぁ、確かにそうなんだけど、なんでしょうこの違和感はと思って考えてみるに、多分、このサミットの「効果」by 英米メディアというのが本質的に日本に関係ないからかな。(暫定的な考えだが)


つまり、今回は、まずロンドンで女王様込みでやってるという点から見ても、アングロ・アメリカン健在をアピールしたという点がこのサミットには盛り込まれていると思うわけだす。少なくともテレビ報道は金融サミットを見ているというよりも、そっちだと思う。


で、米英元気というのをどこにアピールしているのか。どこだろう。アメリカ国民と欧州国民かな。そしてそれを通して、サイドイフェクトとして広くチャイニーズ(チャイナ本国じゃない)に訴える、じゃないかしら。コモンウェルス諸国民は多分媒介となって各地域で活動しよう、みたいな(笑)。


で、日本の場合は、ブッシュ時代に別にアメリカとの関係を悪化させてはいないし、ドルの危機という名で世の中動くかもしれない感もあまり共有されていないので、純粋に金融サミット側面しか関係ない。ぶれてません、なんだろうかと思う。


そもそも、サミットで決まったといわれていることと、我が方首相の方針および手土産とにずれがない。つか、基調を決めて大音量で世界中の人民の思考回路をまず決しようとする英メディアとかは何があっても全部自分で考えたことにしたい傾向が著しいからまぁあれだけど、麻生さんとか中川さんが敷いた路線で走ってないですか、これというサミットだった気がする。

(それが故に、他でもない日本国内から、政府支出だけじゃ足らないんだからってのの押さえが足りてないぞ、リチャード・クーの読みすぎだ、欧米識者という批判が出る可能性とかもあって、それはそれで筋が通る。議論することはいいことだ。)


(麻生さん動向はFTが一番よく書けていたというのは一体どうしたことなんだろう。日本には既に日本のメディアはないってことでOK?。)
麻生太郎首相、単独インタビュー G20内の分裂を浮き彫りに――フィナンシャル・タイムズ
http://news.goo.ne.jp/article/ft/politics/ft-20090401-01.html


あ、産経さんがもっと肉声的なのを出していた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090403/plc0904031130020-n1.htm



ま、それはそれとして、オバマはよかった。実によかった。特にメディアからの質問の受け答えが非常によかった。
これで大西洋主義者万歳だろう。イギリス民はもちろん、欧州民もOK。インドを含むコモンウェルス的には大歓迎という事象が続くものと見る。みんな気に入ったと思う。少なくともその場にいた取材者が全員なごんで、オバマ氏にむけられた質問を自分でも考えてみたりしたかもな、と思わせるものがあった。
まぁ、米国民の半分ぐらいは弱腰だぁとか言うかもしれないが。


私としては、今回オバマが話しているのを聞いて、はじめて、ああ、人が話していると思った。
今までは、俳優が話しているとしか思えなかった。何を言っても答えがちゃんと用意されていて、多分、スクリプトを起して読むと整っているから今の時代に適している(海外を含めてインターネットで読む人が増えた)とはいえ、演技的できもかった。ま、アメリカのスピーカー独特の、なんでもかんでも発表の場を「作り」すぎるというのも原因の一つだろうが。オバマさん、アメリカの緊張下を離れて楽だったのじゃないかとも思った。


6人だったかの人が尋ねた中で、アメリカ人の記者がアメリカの力が弱まってくるとかなんとか選挙戦の中でも言っていたと思うんんだけど、と切り出したことへのオバマの話が記憶に残った。こんな感じ。


まず、質問者の言い方を正して、私はそういう風に言ってんじゃないよ。私がいったのは前の政権が下した決断によって、アメリカの立場が低くなってるっていうことだよ、と言った。で、自分の選挙戦で言い続けたこととかで、それが少しづつ変わってきているように思う。必ずしも世論調査を信じてるってわけじゃないけど、欧州の世論調査とかを見てもそうなってきているのじゃないかと思うんだよ、と。(つまり、アメリカの立場が改善してる気がするんだよ、ってこと)


で、次に、でさ、と、アメリカはまだまだ非常に大きな経済主体だし、軍事力は地球上でナンバー1だし、文化やら政治やらも・・・・と続けて、いや皮肉っぽく言ってるわけじゃないよ、とちょっと会場をなごませて、とにかくだからさ、俺は、アメリカは世界をリードできないという議論は買わない(=賛成しない)と繋げた。

さらに、でさ、と、世界はそれ自体として複雑なもんで、大事なことはこうしろああしろと解決策を指示するんじゃなくて、パートナーになって進められたらいいって思うわけ、と。でさ、みんなが、ブレトンウッズの話とかしてるけど、もしここにルーズベルトチャーチルが同じ部屋ん中でブランデー挟んで座ってたとしたら、さぞかし交渉は容易かったと思うよ。でも今俺らのいる世界はそういうんじゃないし、そんなんでいいとも思わないしさ、と。

で、それは別にアメリカの負けって話じゃないと思うんだよ。ヨーロッパはまたパワーハウスとして再建されて、日本もそう。中国、インドもその動きの内にある、と。つまりそれはいろんな人が貧乏から抜け出そうと一生懸命働いているってことで、これって平和な世界を作っていくって話だとも俺は思うわけ、


ってな調子で話していた。


(正確を期するためにとトランスクリプトを探したところ、あった!地元CBCに。
おお。やはりコモンウェルスは絶賛歓迎キャンペーン展開中のその一味なのだわね。
で、ここまで書いた分はとりあえず特に記憶違いでもなかったみたいなのでママとします)


これってこう、クリントン時代を彷彿とさせるようで、やがてちょっと困ったことになるんじゃないのか、と見てもいいだろうなとは思う。が、しかし、逆に、アメリカの自信という意味にも見えるかなとも思った。

確かに向こうしばらくショボクなるんだけど、だけどだからといって、今すぐアメリカが沈没するわけじゃないじゃん、と聞こえなくもないと思う。


(個人的には、前にも書いたけど、どうあれ3億人いて、どうあれテクノロジーをもった企業がいて、馬鹿みたいに投資にフレンドリーで経験豊かな人々が多数揃ってる国をそう簡単に超えられる国ってないと思うざんすよ、と思ってる。ただ1950年代をピークに影響力が下がり続けるのは、周りが豊かになるんだから避けられない。私は特にアメリカファンではないが。)


で、クリントン時代と違うのは、クリントン時代はクリントンの外交面での優柔不断さまたはニグレクトで山のような宿題を残したことがブッシュへの道を用意したとも言えると私は断固そう思うんだが、オバマは逆なので、このトーンはアメリカにとって悪いことじゃない可能性、少なくともこのアプローチで得るものはあると思う。つまり、最小限の味方陣地、ヨーロッパ、と。


とはいえ、プラクティカルにはイランと、ヨーロッパの中でも中・東欧をどうするよ問題でさらに傷を負う可能性は大きいわけで、その推移は今週末のNATOの記念行事あたりでまた何か進展なりがあるんだろうと思う。


なんにせよ、オバマ、いや、違うな、オバマを出し物にしてbusiness as usualを賢明に表出しようとしたブラウン、見事、といったところじゃないかと思った。


目くらましにしろこういうことが出来るからアングロ・アメリカンチームは油断がならない。

 タックス・ヘイブンの異聞


そうは言っても、実際問題、フランスとドイツはこのサミットに満足してないと既にわぁわぁ言っているのでその帰結がどうなるのかも興味深い。

その中で、フランスが特に、タックス・ヘイブンの問題を言い続けており、それはもう今も昔も同じ英米との間の悶着かと思っていたら、チャイナもからんでいる様子。


なんでも、タックス・ヘイブンブラックリストを作るから云々という話らしいんだが、それ以外にも、もっと大きくOECDが税務の基準を実施しているところとそうじゃないところを分けて、管理するんだかなんだか、なんせ監督に向けて踏み出したい模様で、

ガーディアンの記事によれば、OECDが考えているタックス・ヘイブンの分類は、


1.国際的な租税基準を実施している国
  イギリス、米国、フランス、ドイツ、チャイナなどの国々

2.国際的な租税基準の実施を約束したが、まだ十分に実施していない国
  アンドラモナコ、ジブラルダル、リヒテンシュタイン

3.国際的な租税基準の実施を約束したが、まだ十分に実施していない金融センター
  スイス、シンガポール、チリ、EU3国(ベルギー、ルクセンブルグオーストリア

4.国際的な租税基準の実施を約束していない国
  コスタリカ、マレーシア、フィリピン、ウルグアイ


なのだそうだ。

この分類からするに要するにいわゆる普通の国が1なんでしょう、多分。


で、今回のG20でさり気に激しく問題になっていたのが、香港とマカオ

前者はイギリスが、後者はポルトガルが長らくタックス・ヘイブン他諸々の活動拠

点としていた植民地。

FTによれば、この香港とマカオをリストに入れるか否かで、フランスとチャイナが

激しい論争をしていた模様。

ガーディアンがもう少し詳しく書いていたのでそれを見ると、

Nicolas Sarkozy, the French president, had been pressing for every country – or in the case of the former colonies, every region – in the world to be included in the OECD list. But Hu Jintao, the Chinese president, succeeded in exempting Hong Kong and Macau from the list, though they will eventually be included.

サルコジは、全ての国、すべての元植民地をOECDリストに入れろ、と主張し、チャイナの側は、香港とマカオはいずれ入れるにしてもリストから除外するよう主張していたのだそうだ。


で、チャイナは今年後半にOECDに入ることになっていて、OECDはパリにベースがあるので、ガーディアンによれば、チャイナはここにモニターされるのがイヤだ、と。


タックス・ヘイブンといえば疑いもなく、イギリス、アメリカ勢だが、こんなところにも問題があったのかと、よくよく考えればいまさらだが、ほぉと思った。


そういえば、夕べ、日経オンラインにタックス・ヘイブンの告発グループの記事があった。


シリーズ 金融危機、影の主役 1世界経済に根を張るタックスヘイブン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090401/190741/


この中で、このチーフの人は、調べれば調べるほど結局イギリスなんですよ、みたいなことを言ってもいたし、それはそれで嘘ではないのだが、とりあえず、(実際にはいろいろ抜け道作ったりなんだりがあるのだとしても)、イギリスのゴードン・ブラウン首相は、タックス・ヘイブンにお金入れてる企業、個人、もうそこは安全地帯なんかじゃないからな、と警告を発している・・・。

その一方で、香港、マカオが焦点になっていたわけだすね。


イギリス勢がフランスを目の仇にするのはある種様式美だけど、考えてみれば、香港あたりを中心に見ると、イギリス+チャイナは連合軍だというのもあるだしょう。イギリスは、インドからチャイナにある程度の強いハンドを維持することが国是だろうし、それこそが国の将来ってのは動かないでしょう。BBCワールドなんてこのへんを自分のテリと信じて疑ってない風が興味深い。

とりあえずそんなブロードじゃなくても、具体的には例えばHSBCの将来を考えても、イギリスは、どういう事態であれ、チャイナと正面切って事を荒立てるなんてことは、にっこり拒否したい、でしょうね。


香港は独自通貨を使っているわけだから、タックスだけでなく、こっちでもホット可能性はあるのかな、とか考えると、なんか、生々しい?

サルコジ氏は、サミットが終わってもまだ、幾つかの金融センターがOECDの基準に合ってないと主張しており 諦めていない模様。

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=afTpUUPzppmU&refer=home

 夕陽に向かってゴー(1)

朝日雑感。

ビジネスセクションを開けたら、

ミシェル夫人京友禅好き 「庶民的な素材」センス良く


どこがビジネスなの??? 


思うに、朝日って米民主党的つながりが細くなってる? 
なんか、オバマンの効果的な扱い方ガイドブックが送られていない気がする。なんか、へんだよ。