安部ちゃんは何をしたかったのかしら

2,3日インターネットにアクセスするのが困難な状況が発生して、ちょっといらついてみたり、しかし諦めて日常を送ってみるに、5年前はおろか3年前と比較しても比較にならないぐらい日々の生活がネットに支配されているというか、ネットなしには不便で仕方がない状況になって来たものよと改めて思い知らされた。

なんといっても、部分的に接続しているのじゃなくて常時接続していることが常態になるにつれ、諸々の連絡先とか、どうしたいいかのを知りたい時の取り説めいたものとかを手元にストックしていない状況になっていたのね、というのが、一見くだらないが、でも大きな変化で、そうしてそれを全く気付かずにうかつに暮らしていた模様というのが衝撃(大袈裟だが)だった。ネットで情報をというより、ネットが半分メモ帳代わりになっていた感じだ。


驚きつつそんなことを呑気に楽しんでいたら我が邦の首相が退任していた。

日本に電話していて相手が、ねぇねぇそういえばさと話を向けて来てはじめて知った。ここ数年はネット上でリアルタイムで日本のニュースをキャッチすることが普通になっていたので、このタイムラグが懐かしかった。そういえば、テレビのニュースを小耳にはさんだ時、日本の政治的な混乱がどうしたと言っていたような気もした。

日本の知り合いが言うには、唐突に退任会見となった、理由はといえば、特措法を自分の力では通せない、小沢氏に会談を申し込んだが断られた云々。そんなことで辞めるかぁ???と私は思い、身体が悪いんじゃないのかと聞いた。私は安部氏は健康に問題がある人だとずっと思っていたのでまっさきに頭に浮かんだのはそれで、辞めたという事情を聞き、倒れたんじゃないのかと咄嗟に思ったぐらいだった。知人が言うには確かに具合も悪いらしいのこと。

と、それから通常通りインターネット有り環境になって、あちこち見たり聞いたりができるようになったのが一昨日。出来事から3日目。

しかしながら、今でもなんで安部ちゃんたらそんな「差し違え」風の手段を取ったわけ?に対する明確な解というのはない模様。とりあえず、ご本人が言っている、テロとの戦いを継続するのは大事だ、この間も職を賭してまっとうしたいと言ったところだ、が、小沢が妨害すると言っている、それで、

今の状況でなかなか、国民の支持、信頼の上において力強く政策を前に進めていくことは困難な状況であると。ここは自らがけじめをつけることによって、局面を打開をしなければいけない。そう判断するに至ったわけでございます。

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070912k0000e010086000c.html


なのだそうなので、それはそれでそうですかとしか言いようがないが、自分が辞めると局面が打開できるはずだと読んだその根拠はどこにあるんだろうかという気はしないでもない。

純ちゃんの歌舞伎好きは知ってたけど、安部ちゃんも舞台が好きなの?など言ってみたい気もする。見得を切ると局面が変わるだなんて。
でも、純ちゃんは本当に腹にさらしを巻いてるんじゃないのかと思わせるものがあったので(何かとてもリアルにそうなんじゃないのかとさえ思う)、局面打開も冗談ではない気がするが(それでいて後ろで計算もするんだし)、プリンス安部はよくも悪くもキャラが違う。


また、民主党が妨害に出ることは昨日わかったことでもなかろうし、「普通の国」なるものを目指していたはずの小沢氏のここに来ての行動を変節とかなんとか言う向きもあるようだし、それはそれでそうだと言って言えないこともないが、これって、普通に、現在展開中の作戦(政権を取る)中の一つの戦術というか、小競り合いというか、じゃないのか?と思うと、それにうろたえる人の気が知れないなど私は思う。晴天の霹靂どころか、当然そう出ることが予想されていた行動を取っている相手を前に、アドリブをぶつけられたような反応はおかしかろう。

さらにいえば、職を賭すほど重要なことならことでもっと前から、衆→参→衆でやれる日程にしておくとか、それがミスってできなかったんだったら、とりあえず現状維持を内閣の責任として米国なりに約して、ちょっと待って手続きするから、にしておくことだってできただろう。さらには、イラクがごたごたしている以上、一目散に馳せ参じなければならない、見得が必要な状況でもなくて、むしろ、揉めたがi go with youでも別に全然いいんじゃないかという気もする。どうあれ、一矢報いるとかそういう小競り合いではなくて対米「完全」敵対が日本国のマジョリティになるってことはないんだし、もしそうなった場合にはそれこそ職を賭してとういう事態だろうし、昔このおじいさんがやったのは、評価はいろいろだろうが、とりあえずそういう事態での取引だっただろう。


と、それらを考えてみて、私としては、額面通り受け取りがたい感触があるんだが、でもほかに理由らしいものがありそうにもない。だから、理由は同じだが文脈が違う、文脈が隠れていて氷山の一角だけ見てる状態なので納得できる要素が少ないとかそういう感じなのかなど思う。

 北とかアジアとか、何かあるんでしょうか

では何が隠された文脈なのかといえばそれは誰も教えてくれないわけだが、でも、なんか、北の大将と関係なくはないような文脈がなんかあるのかなと思わないではない。主にタイミング的に。また、外信の日本の首相の交代問題がついつい、対チャイナ、北朝鮮に触れていく経緯を見ても、あるいは、折からのシリアと北の関係問題のブレークを見ても、なんかここに脈があるのかなと思っていて悪いことはないように見える。シリアと北の関係は数日前からテレビでも触れられていた。

インド洋での給油の話は、安部ちゃんが倒れるきっかけとしては紹介されているが、それについて大して大ごとのように取り扱われていない気もする@外信。

それどころか、The Economistなんて、安倍氏とそれにその後継者になりそうに見える(13日の記事)麻生氏は日本の国際的な名声に取りつかれていて有権者の支持を失った、といった書き方をしていた。これはこれで、有権者は結構このラインが好きだし気にもしているからこの件に関してのThe Economistの日本観察は浅いと言うべきだと思うが、でも、確かにそう言えてしまうような問題と見えるというのも、もし出ている材料がこれだけであるのならば(文脈が他にないのなら)、本当だと思う。


で、まぁ、福田氏は外交において穏健派で、対する麻生氏は経済制裁を積極的に課していた派であることから対特定アジアのハードライナーだと表現されているのは本邦でも外信でも同様なのだが、これはでも、形容詞を外して見ていることもあるいは必要かなど思わないでもない。

というのは、これまでのところの対北の会議所であるところの関係六者協議に関して、この2者は、拉致が解決しない限りコミットしない日本、か、どうあれコミットする日本かを選択していると言い直してみることもでき、その枠組みの中で、日本以外の国をきっかけとしてハードな事態が発生した場合には、前者はハードとはならず、後者はハードの当事者となるからだ。だから、表面的、短時日的な物言いのハード、ソフトが全体としてのそれらを決することにはならないだろう。


また、ハードライナーは経済封鎖で相手を苦しめるにせよ、それでそこが壊れた場合どうするのかの見通しがあるようには見えない。その場合に、それでも知らん顔するためにはそれこそここに戦略が要る。それは過去のいきさつではなくて、好むとの好まざるとにかかわらず日本は地域で最も普通の国、しっかりした国だからだ。本音を言えば、どうあれ文句を言ってくる、どうやっても感謝はない、常に頭痛の種になるのがむしろデフォルトの設定である相手からはどうあれ離れておきたい。が、それができないのなら、離れていられるのか、は、どうやったら我が方の被害を最小にできるのか、と考えることと同議とするしかないのだろうと思う。

とかとか考えると、放置したい気分が溢れて来るわけだけど、でも、2008年のオリンピックを境にというか、これを目標に世の中は静まっていたみたいなところもあるわけだし、同じ年にはアメリカの大統領選挙もあるんだしとか思うと、来年をきかっけに何か常ならざる状況も想定しておかないとならないんだろうとは思う。

で、福田さんという選択って、そういう意味から考えられてんのかななど思う。つまり、国内的に対北強硬派で勝ち上がってない、国外的にもそれで名前を売ってないという人という選択肢。なぜなら、表面強硬派だと国民的支持はそれを中心に集まった場合、表面強硬派を貫かないと支持が陰る。しかし表面強硬派が結果において必ず強硬であり続けているとは限らない。中心が移動すれば端は端でなくなる。

今こそ「ぬえ」みたいな感じ。今ぬえにならなくてどうする、自民党、とか。


しかし、問題はこれでは選挙は勝てそうもないというところが自民党的には致命的なんだろう。が、一方で、果たして民主党に勝てるのか???。確かに参議院の優位は任期が長い分続くから、民主党は強い札を引いていることには間違いはないんだが、民すこそ存続できるんだろうか?? 

特にまだ兆候があるわけではないので、なんとなく、の気分にすぎないが、今般の仕儀で民主党あるいは小沢氏は、小勝負に勝って勝負に負けたんじゃなかろうかという気がしてならない。あるいは政局に勝って基盤を流したとかも言えるかも。基盤は、普通の国論に始まる小沢に期待した人々にとっての民主のことで、その他の民主に関係ないが、でも、この期待感がこの党を支えてるわけでしょ?だからこそ、民主党の議員にテレビとかにでて語るな、ってなお触れがまわったらしいけど、これはつまり、小競り合いの意味を勘違いして(故意に、も含めて)暴発する民主党議員を止めたんでしょう。ここを上手くしのがないと、あとは単なるアンチ自民になる、で、アンチでまとまる集団はその動きの中で全体として脱皮可能な基盤がなければ自滅する、と、前にも書いたけど私はそう思ってる。

いずれにしてもだんだん大変な世の中になるなぁとそれはわかった。そして、ますます疑問に思えて来たのは、安部ちゃんはどうして首相になったんだっけか、というそれかもしれない。なんにせよ、お身体お大切に。実際確かにせっかくのハンサムが台無しになってましたわよ。