素直にこういうのはうれしい

世論調査「世界に最も良い影響与えている国」日本が1位に
http://www.sankei.co.jp/news/060204/kok036.htm


この見出しはちょっと言い過ぎだとは思うが、

世界に最も「良い影響」を与えている国は日本?。米メリーランド大が世界の約4万人を対象に実施した英BBC放送との共同世論調査で、こんな結果が出た。同大が3日発表した。逆に最も悪影響を与えている国は、核問題が国際社会の反発を招いているイランで、次いで米国だった。

http://www.sankei.co.jp/news/060204/kok036.htm


という話で、一応元ネタ(これだよね?)も、数値の結論としてこんなことを書いている。

Japan is the country most widely viewed as having a positive influence, and Europe as a whole gets the most positive ratings of all.

http://www.worldpublicopinion.org/pipa/articles/home_page/168.php?nid=&id=&pnt=168&lb=hmpg1


かましいことを言うようだが、最も良い影響を与えている国、というより、広くその影響が良いものと好感されている国、とか言う方が適切かと思う。前者だと、良い影響を与えている国コンテストの結果みたいだがそういうものではないようだ。


でまぁこの結果だが、今回発表の主旨は、どれだけイランが好感されてないかの発表みたいな感じなんだろうかなとは思う。

Global Poll Finds Iran Viewed Negatively

これがメインタイトルだし。


しかし、そこでサイドで、え、じゃあ一番「良」の多いのは、えええ、日本!と日本は喜んでいると。私ももちろんうれしい。


さらに、日本への印象で過半数を上回る人が「悪い」と答えたのは、南朝鮮とチャイナだけ、というのも、今の日本にとっては、これってなんですか、「特ア」のプルーフですか?みたい感じか。


悪い方の数値の高い順に、
チャイナ  74
南朝鮮 54
フランス 36
イラン 33
イタリア 24
メキシコ 24


このぐらいか。どう考えても、全員に好印象なんてあり得ないから、適当に2、3割が嫌ってます、みたいなのはむしろ健康じゃないのかなど思えるので(これって典型的な日本人のような気もするが)、結果として、チャイナ、南朝鮮の評価が頭抜けているというのがただ目立った。


フランスはネガティブも大きいが、ポジティブ47と、こっちも小さいとは言えないので、つーことは単純に、はっきりした人々が集まってるってことじゃまいかなんて言いたいものはある。


逆に良い方の数値の高い順だと、
インドネシア 85
フィリピン 79
ブラジル 73
ナイジェリア 70
スペイン 69


東南アジアはともかく、他はなんでだかわからん。で、インドネシア、フィリピンって、これって、日本国内で統計取ってもこんな数字はでないと思う。国民性から言ってもまずは自分を褒めないってのがあるから、なおさら出ないだろうなぁ。びっくりするような数字だ。単なる誤差だろうが、単なる「おべんちゃら」でも、なんだかわからないけどアンケートの日が祝日だったからついでのご祝儀でもなんでも、私は素直にこういうのはうれしい。


特別には、イラク54(良)、14(悪)というのがうれしい。


あ、カナダ。同62、18。
そんなものかなと思う。


ちなみに、カナダ人が見るアメリカ。
同30、60。


個人的には、いつまでもこうやってると自分の土台を流すんじゃまいかと心配してるのが私。


上にあげたページでは、Iran, United States, China, Russia, France, Japan, Europe, Britain, Indiaに対する結果が出ているのだが、これで最も面白いと私が思ったのはロシア。ほぼどこでも拮抗してる。大きく良いも大きく悪いもない。インドもイランが特別に花丸になってるのを除けばそんな感じ。この二国はとてつもなくいろんなことがある国々なわけだが、ポジション的なものも手伝って、現在のところ、結果的に、目立った敵がない国になっていると言ってもいい状況。ある意味強いかも。日本はチャイナが永遠の敵として世界認知されたみたいな感じか。前からそうだが。


いたずらで言うんだが、フランスという国は、予想通りどこも好きではない。その中で日本への数値は、理解できないものがあるとさえ言えるだろう。むしろ嫌われて安心みたいな気さえする。すんません、フランス好きの人。でも私はそう思う。

 イランの裏と表の戦い?


上で、イランの印象がどれだけ悪いかを見せるのが主要なテーマっぽいなとあっさり書いたが、それはつまり諸々表の理由、主に核の理由があるわけだが、小さくはない問題としてはホロコーストもあるんだろうとは思う。


年末に、あははと笑ってしまうほど大っぴらに、


ホロコーストは「神話」/イラン大統領、独反発
http://www.shikoku-np.co.jp/news/kyodonews.aspx?id=20051214000540


こんなことを発言したイランの大統領がいた、と。でもって、彼がどれほどのエビデンスを持ってそう言っているのかはともかく、

大統領は南東部ザヘダンでの演説で、「欧米では神の存在を否定しても困らないが、ユダヤ人の虐殺を否定すれば、シオニストイスラエル)の支持者にのどを割かれる」と発言。


これはうまいことを言うなと、この件に関しては私はまさにそう通りと思う(のどを引き裂く、はレトリックとして)。ただ、否定のために否定するのではなくて、なんかへんかもなと思ったら精査するという態度を失って、あるいは、他を圧して失わせることを私はまったくいいとは思わないし、そのようなことには断固反対する、など強く言ってみたい気もするが、なんせ年を取ったのでもっと現状に則したように言ってみたい。


できないって。ピリオド。
人の口に戸はたてられず他人の頭に手はつっこめない。そういうもんだ。


蛇足ながら、ヨーロッパ諸国では

ドイツ・オーストリア・フランスでは「ナチスの犯罪」を「否定もしくは矮小化」した者に対して刑事罰が適用される法律が制定されているが、人種差別禁止法を名目に「ホロコースト否定」を取り締まる国もある。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88


なわけですよ。確かポーランドとかもなにかあったからこの3国だけではないはず。で、わざわざこれを書く理由は、禁止されてるのよ、といったら、「嘘でしょ?」と言われたことが近年何度かあったため。日本人ね。


で、事の是非または正否はともかく、この大統領は上の演説だかなんだかの時に、イスラエルは、ヨーロッパか、アメリカかカナダにでも作ればよかったんだとかも発言していたらしい。


あはは、と思っていたのだが今日偶然見つけた記事によれば、カナダの首相はこれに反論、つまり答えていたらしい。


当たり前だが、そうですね、のわけはなく(笑)、そんな無責任だぁと怒ったらしい。

Here’s Prime Minister Paul Martin’s diatribe:
“These statements are irresponsible, contrary to Canadian values…To cast doubt on the Holocaust and to suggest that Israel be ‘moved’ to Europe, the United States or Canada is completely unacceptable to the Canadian people.”


http://www.gregfelton.com/middle/2005_12_22.htm


ホロコーストに疑問を投げかけたり、イスラエルにヨーロッパやアメリカ、カナダに「引っ越す」なんて言ってみたりってそんなのはカナダ人には完全に受け入れられない、と言ったのだそうだ。


(メジャー新聞じゃなくて、個人のブログなので真偽のほどまでは私は保証できません、というのを一応加えておきます。メジャー新聞だって同じといえば同じだけど(^ ^))


しかしながら、そうはいっても、カナダ人にもいろんな人がいるわけで、なんせツンデル裁判のあったお土地柄なので、実際には、おそらく、私が知る、あるいは嗅ぐ感じでは、かなり多くの人が疑問には思っているんだろうなとは思う。少なくとも、そういう異論があることは、ツンデルが修正主義者としてさらし者にされればされるだけ、露出は増えていくわけだから、知られるようになったとは言える。

私は裁判の頃はトロントにはいなかったのだが、かなり論争はあったらしいし、その余韻というのは長そうだ。さらには、英語圏の歴史家(イギリス人だが)、ジョン・アービングの話を聞いたことがきっかけで、と話していた普通のおじちゃん(インテリだが)がいたことからすると、そういうレクチャーものさえなんてことなくあったんだろうと思う。全然、どっから考えても政治的でない人が聞いたというんだから。ただしこのおじちゃんの場合は、否定する人がいることにショックを受けて、そんなはずはないと証拠固めのような本を山ほど読んだらしい。その後どう判断してるのかは知らないが。


そういう土壌の上に、もう1つ興味深い現象が加わる。それは、何度も書いているように、過剰なまでの「反米」に入れ込んだ人が多くなったこと。で、反米の人がすなわち修正主義と繋がることは直接的にはないんだが、中東ファクターが絡むと話は別。ある種どっから行ってもそこに辿り着く広場みたいなのがあるのよね、という感じか。

なんせ911以降のアメリカが、中東っぽい風情の人に激しくあたった、空港で誰かれなくテロリスト扱いしやがって、馬鹿やろう!という声がカナダの若い衆の中で非情に強くなって、今も強い。すると、この人たちは、メジャーなニュース系統から、アラブ系列のニュースを取り込んだネットに行き、さらには若干(かなり?)陰謀がかったサイトにも辿り着く。


一方で、世界中どこでもそうだが、いわゆる「リベラル」な人たちはホロコースト完全肯定派であることが多い。が、しかし今そうではない人々を内包している。反米という切り口、いわゆる右旋回したらどうするんだ、大変だぞ、という切り口で。で、これはカナダだけではないのだろうと思う。反米が呼び込んだ、非情に奇妙な綾だわ、など思う。


もちろんそれが分かるからイランはイランで、後ろで面白いことをやってるってことなんだろう。おりしも1月27日はヨーロッパじゃホロコーストのメモリアルデーとかなんとか、そんな日だったから、タイミング的にそこを狙ったものだったのかもしれない。そこで、馬鹿なことを言うなとイランは各国首脳または知識人かメディア人かから反発を食らい、今度は、じゃあ世界中のリーダーにレクチャーしようか、とイランの大統領は切り返す、と。

Iran, whose president has denied the Holocaust, said Sunday it would hold a conference to examine the scientific evidence concerning Nazi Germany's extermination of 6 million Jews.

Iran Announces Conference on Holocaust
http://www.ctv.ca/servlet/ArticleNews/story/CTVNews/20060115/iran_holocaust_060115?s_name=&no_ads=

(1/15 カナダCTV。元記事はAP)


この奇妙な綾がどういう影響をもたらすのかは分からないが、BBCの調査が今発表されていることの1つの意味は、これを踏まえていないとは言えないだろうとは思うのだ。もちろん、そんなの関係ないと言ってもいいわけだが、どうあれ発言者のクオリティを問う、という仕掛けなっていることはほんとだ。


と、そこで、そんななんかた〜いへんな状況にもかかわらず、この本筋(私の認定だが)をまったく、全然、まるっきり考えることもなく、なんてうれしいんでしょう、この日本の評価!と言ってしまう私たち(まずは私だが)は、おそらく、相当に、おめでたいのかもしれない。そうして、それでいいんじゃないのか、など私は思うし、そうだからこそのポジティブ評価なんじゃないのかなどとも思う。