語る人は恐い


いつも興味深く読ませてもらっているkom’s logさんのCNNの小泉特集をご覧になっての今日のエントリー。なんでそんなにブッシュと仲がいいんですか、と尋ねられて、波長がすごくあうんです、と答えたのだそうだ。笑う。You're not gonna marry, huh?とかかましてやりたいものがあるな、やはし。ちなみに、ここらへんの人は、議論で意見が割れた時にこんなことを言ったりする。つまり、別に好きにならんでもいいわけだ、結婚するわけじゃないんだから、違ってることがわかっていいじゃんか、ということ。怒らないで宥めるニュアンスも当然あるわけだが。


それはともかく、

それにしても同時通訳の人がとても困っているようだった。あまりに内容が空疎だと、英語に翻訳するのが大変なんだろうなあ、と少々同情。

http://d.hatena.ne.jp/kmiura/20041216


私も時々通訳をさせてもらうんだが、とはいえ、そんなこう、ああ、どういやいいんだ、そんなに難しくないものですといったらクライアントに悪いし、さりとて、ええまったく素晴らしいですというのもウソだし(泣)、ま、とにかく、現在のところあまり出来が良いわけではないですが惜しみなく(!!)努力してます、ええ本当に、というこれに関しては駆け出しの(書かれた文章よりある時から面白くなってきてしまってついやる気になってしまったというのが正解だが)一人として、つい口を挟みたくなった。


いや、ほんと、どう訳していいのか困ることは多々あるけど、日本の政治家の話は概していえば相当に大変だろうなあとしみじみ思う。というか、本来大変であってはいけないグループだろうに、そう思う。


普通難しいと言われているもの、ニュースみたいなものというのは実際には努力でカバーできる(と思う(^.^;;、以下ずっとこれ、と思ってくださいませ)。なんでかっていえば、それは理解できる話だから中間に立つ私がある程度理解できていれば、それは十分にパラフレーズ可能だから、そのフレームの中で適切な対語を時間内で追求することができる。少なくとも態勢はそうだ。たとえ珍しい話でも。


と、政治家とは言葉で他人を仕切るのが商売なのだから、本当は大変なグループにいてはいけないと私は思うのだが、いや、でも、大変だと思う(笑←この笑いを共有できるのは、日本人だからこそかもしれない(^.^;;)。


で、総じていえば、理解・・・・??? という話が大変なのだ、と言えると思う。なかでも、述懐風は恐い。


やっかいなことに日本語の場合、文の鳥羽口で動詞を決めるという枠取りをしないので、いくらでも文が続く。私は、つまりこう考えるわけですよ、ああ、だからそう、この件、同じというわけではないですが、こんな感じのを昔やった時の経験になるわけですが、私はですね20代からずっと同じことをやってまして、ざっと30年同じものを扱ってるんですが、ですので、その中にはいろいろ面白い話もあるわけですよ、その間にはいろんな人に御世話になってるわけでしてね、まったくありがたいことです、ここの先代もその一人です、したがってですね、そういうことを思いだしながらですね、そんなことを考えたわけだというのがきっかけだったんですけど、いやそれだけでもないですが、まぁ、だいたいそういうことがわかってもらえるのかっていうことをですね、まぁ、こちらにうかがう前に何度も考えてはみたわけでして、その際には社内だけではなくてですね、私の友人もまぁ海外経験が豊富な人間も多く、一人などは・・・・、という具合に、いくらでも話者のポイントがずれていって、どこに区切りがあるのかがよくわからない。下手に、このへんでと切ることを促したら、主文がまだ、みたいなことにもなりかねない。


こういう場合通訳者がやってることは、だから、ほとんどまず要点リストアップみたいなもので、英語(その他なんでも)にするのはその次、殆ど二の次じゃないのかと思うことすらある。そして、欧州語圏内で通訳の作業をしている人にも勿論こういう作業手順がないわけではないのだが、日本語との対でやってる人の頭脳内作業の質と量は彼らにはやはりどーーーしても理解してもらえない。ま、わかってはいるが、感情的には苦しいものが時々ある、私は。


そういうわけで、確かに短くてどれが内容なんだかわからないコメントを吐く人も大変だけど、私の体験では、語り出したら止まらない系の人の方が、恐るべし、になることは多いと思う。


そうしてこれらのことを通じて、私がこの頃思うのは、日本語における口語には、概していえばセンテンスという発想はないのではないのか? 流れる文がある、みたいな感じか。