Victoria Day


今週はビクトリアデーを含めた、いわゆるlong weekend ロング・ウィークエンド。月曜日に祝日をあてた3連休。
ビクトリアデーとは、イギリスの女王様であったビクトリア女王のお誕生日のことで、実際のお誕生日は5月24日。しかしその後毎年5月25日の直前の月曜日をビクトリアデーにあてて、いうところの移動休日としてカナダでは祝日になっている。

ビクトリア女王の在位期間は1837年〜1901年と誰でも知っているとおり長く、さらに確かに強かった大英帝国時代の女王様なので、通常大英帝国繁栄の象徴と見られる。あるいは、最後の良き時代、爛熟しちゃったから後は混乱を待つばかりの時代へのとっかかり、とか、いろいろ解釈は分かれるだろうが。

女王の誕生日は在位中からカナダを含む大英帝国内で女王のお誕生日として、つまり天皇誕生日、みたいによく知られていたらしい。で、亡くなった後もこのお誕生日は忘れられることなく後もそのまま、カナダ(だけなのか大英帝国のそこかしこなのかよくわからない。多分後者)では今度はEmpire Dayとして残った。

しかしその後この「帝国の日」は、別の日に移り、1958年名前を「コモンウェルスの日」と名を変えて、現在では3月の第2月曜がそうなんだそうだが、この日は国家としては祝日扱いではない。


ではしかし、なぜ5月24日がビクトリアの日のままで、しかも祝日という扱いまで受けているのか。
はっきりした理由が今日現在の私にはわからない。人々は、偉大な女王様だったからじゃね?と、上述の歴史的経緯からだろうが、あっさり言ってくれちゃったりするのだが、そういうことだけではないだろうと私は勘ぐっている。

この女王様の来歴がどうであれ、なんといってとても丁度いい時分だったからというのが最大の理由ではあるまいかと思っている。まず、日本の昭和天皇の誕生日がまさにそうだが、あまりにも長くこの日が休みだったのですっかりそれが定着してしまった、その上で、この時節が非常にいいマーク機会だった、ということ。

そこらのおばちゃんたちが、ビクトリアデーまでは油断ならないからね、とか、ビクトリアデーの週末になったら花壇の花の手入れを、などと、寒さがぶり返す可能性がなくなる週末の意味として使われているのだが、これはつまり、この週末まではすごく寒い日の可能性もあるが、これ以降は大丈夫という意味だ。

実際、体験値としてはこれは良くあたっている。要するに、日本で言うところの、暑さ寒さも彼岸まで、の代わりにビクトリアデーという語が使用されているといっていいかと思う。

日本(この場合関東以南を指す)からすると相当に遅いわけだけど、現実に、4月からここまでは毎日天気予報をしっかり見てないと、毎日の変化がとっても大きくて大変。寒いのに薄着してたり、暑いのにセーター着て出ちゃったりして困惑することになる。変な言い方だが、気温10度にも、10度寒、10度暖、みたいに2通りあるような感じも相当する。多分、地面がまだ冷たいからちょっとでも日がささないと寒い、まだ風が冷たい、といった要因のためだろうと思う。

今時分の大気を例えば水のお風呂だとして、そこにお湯を足したんだが、まだ冷たいところがまだらに残ってる、今ちょっとづつかき混ぜてるから、あ、チメタイ!というところがあったり、お湯のままのところにあたって熱かったりとか、そういう感じか。


この説を堅持したくなる傍証としては、ビクトリアの日と名指しされているにもかかわらず、だからといってこの日あたりにビクトリア女王の業績について人々が語るとか、思い起こしているとかいうのを聞いたことがなく、国家としても別にそういう内容をここに含めているようにも見えないことも挙げられるだろう。


春のマーキング、あるいは冬との別れにはもうひとつイースターというのがあって、これと共に春が訪れる、という見解もあるわけだが、イースターは別に農事暦あるいは現地環境込みで考えられているわけではないので、ま、気分的に冬、篭り期間は終わったという「はげまし」をもらった気にはなるが、それをマジで受け取って種まきしてる人はいないでしょう。このあたり、人はパンのみでは生きられないにせよ、思想だけではさらに生きられない、ということではないかと面白く考えてみたい気もする。


wiki を見たら、ビクトリアデーはカナダだけでなく、エジンバラを含むスコットランドでもパブリック・ホリデーなんだそうだ。やっぱり、ちょっと寒いところでぴったり来る日付なんじゃないの?など思う。
http://en.wikipedia.org/wiki/Victoria_Day


(新説なり正式な来歴、詳しい公式見解がわかればフォローする予定。)